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私たちがやったこと の商品レビュー

3.9

11件のお客様レビュー

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2024/02/12

あなたを求めてわたしの心をきつく重ねてゆけば かたちのあわぬすきまも縮まり狭まってゆく ほんとうにひとつになれると信じたのだろうか どんなに押し付けても重ならぬ隙間は細くなるにつれ深さを増していく わたしはほんとうにひとつになりたいのだろうか 隘路を辿って逃げのびたいのはわた...

あなたを求めてわたしの心をきつく重ねてゆけば かたちのあわぬすきまも縮まり狭まってゆく ほんとうにひとつになれると信じたのだろうか どんなに押し付けても重ならぬ隙間は細くなるにつれ深さを増していく わたしはほんとうにひとつになりたいのだろうか 隘路を辿って逃げのびたいのはわたしのほうか 抑圧の予感に怯えるから、 憎悪に変わる日がわかるから 『アニー』の幾重に重なった幻想が臨界点を迎えた先に、『私たちがやったことの』戻れない始まりに、『ナポレオンの死』の弾丸が届くところに、わたしは自らの心の奥底に棲むものをみる

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2021/10/15

ふぅ…久しぶりに説明し難い恐ろしいものを読んだという感覚。ふわふわしてるけど根底に刺々しい怒りや悲しみのある感じ。 「幻想レズビアン作家」と言われてるらしいことを最後に知った。「ナポレオンの死」とか現実と幻想を行き来しすぎててわけわかめだったけど、詩的な言葉のリズムや匂いを感じる...

ふぅ…久しぶりに説明し難い恐ろしいものを読んだという感覚。ふわふわしてるけど根底に刺々しい怒りや悲しみのある感じ。 「幻想レズビアン作家」と言われてるらしいことを最後に知った。「ナポレオンの死」とか現実と幻想を行き来しすぎててわけわかめだったけど、詩的な言葉のリズムや匂いを感じるための文章だなと思った。

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2013/06/08

すごく、恐ろしい本だとおもう。発想の豊かさと、経験の厳しさと、文章の美しさを合わせて昇華させた上質な短編集。レベッカ・ブラウンの魅力はこう、身近なんだけれども上質っていうところだとかんじる。作家としてはるか離れたところにいるわけではないけれどもとてもよいものを提供してくれる、その...

すごく、恐ろしい本だとおもう。発想の豊かさと、経験の厳しさと、文章の美しさを合わせて昇華させた上質な短編集。レベッカ・ブラウンの魅力はこう、身近なんだけれども上質っていうところだとかんじる。作家としてはるか離れたところにいるわけではないけれどもとてもよいものを提供してくれる、その優しさ。ありがたさ。

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2012/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いつもどことなく綺麗で優しげな文章が心に残ります。 著者は非常に慎重で繊細な人物なのであろう、と思わずイメージが 膨らんでしまいます…。 冒頭より、あなたと私の二人だけの世界が繰り広げられ、2人の愛情について、非常に細やかに描かれます。 描写もとても綺麗で美しいです。 登場する2人とも、芸術家肌で、自分だけの世界を持って活動している人。 その二人だけの世界を2人は守ろうとし、そしてそれは一旦は成功したかに見えます。 しかしやがて凄惨なクライマックスを迎え…。 架空の世界をこうも丹念に描ける人はそういないのではないでしょうか? 滑るようななめらかな語り口につられてついつい読み進めてしまいます。 なんとなく『春琴抄』にもイメージが重なる気が…。 が、このかたが本当に語りたいことって、一体なんなのでしょうか?という疑問がなかなか上手く解決できず、困ってしまいます。 (ANNIE OAKLEY'S GIRL) レベッカ・ブラウン著 柴田元幸訳 マガジンハウス 02年9月刊

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2011/06/29

ぼんやりとしながら、かつ何かを予感させるような小説。そのぼんやりさに、確固たる狙いをかんじる。レッテルを貼られ、そのようなものとして流通させられることにゆるやかな抵抗を示し、注意深くそれらを迂回する。そうして慎重に選びとられた言葉によって、この小説は静かに着地することに成功してい...

ぼんやりとしながら、かつ何かを予感させるような小説。そのぼんやりさに、確固たる狙いをかんじる。レッテルを貼られ、そのようなものとして流通させられることにゆるやかな抵抗を示し、注意深くそれらを迂回する。そうして慎重に選びとられた言葉によって、この小説は静かに着地することに成功している。

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2011/05/01

幻想的な愛の小説。 怖いくらいの愛が描かれています。 愛とは恐ろしくて、美しいものなのですなぁ。

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2011/09/03

たしか、彼女の本を読むのは二冊目で、『体の贈り物』を大分前に読んだのかな。そのときも感じたんだけれど、やっぱりおもしろいんだけど、そのぶん伝わってくるから痛いわけです。痛いからすばらしいのだけれど。読むと人間と向き合う感じがする。

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2009/10/07

若干クオリティにムラがあるけれど、表題作よりは他の作品に心が動いた。 一番大切で、親密な関係の相手との間にある、絶望的なまでの距離、すれ違い、壁、断絶。それを感じたことがある人なら誰もがきっと、この象徴的な短編の数々の中に胸の奥底を締めつけられるようなエピソードを発見してしま...

若干クオリティにムラがあるけれど、表題作よりは他の作品に心が動いた。 一番大切で、親密な関係の相手との間にある、絶望的なまでの距離、すれ違い、壁、断絶。それを感じたことがある人なら誰もがきっと、この象徴的な短編の数々の中に胸の奥底を締めつけられるようなエピソードを発見してしまうのではないだろうか。 ほんの些細な仕草や感情の変化に表れる人の心の移ろい。その、微細だけれど決定的な熱の変化と、そこからはじまる砂の城が風で削られていくような崩壊の時間。受動側であれ能動側であれ、敏感な感性を持った者ほど苦しみを伴うこのプロセスが、残酷なまでに丁寧に、美しく精緻で静謐なタッチで描かれている。筆者の精神的皮膚感覚の鋭さと描写力、それにそのリズムや温度や純度を損なわずに訳す柴田さんの言語感覚も鳥肌ものだった。 読み手の中に沸き起こるのは、きっと忘れたくはあっても大切な感情なのだろう。この世に人がたくさん生きていて時間がゆっくり流れていてハッピーエンドの数に限りがあるのはつまり、こんな感情を味わないと魂ってやつが成長しないからなんじゃないかと思う。

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2012/05/02

なんとなくミヒャエルエンデの「鏡の中の鏡」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4006020317を思い出した。 話は似ていない。雰囲気が近い。 「体の贈り物」http://booklog.jp/users/niji...

なんとなくミヒャエルエンデの「鏡の中の鏡」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4006020317を思い出した。 話は似ていない。雰囲気が近い。 「体の贈り物」http://booklog.jp/users/nijiirokatatumuri/archives/1/4838712901とはテイストが違ってびっくり。 あの感じを期待すると肩透かしを食わされる。 全体としては嫌いじゃないけど表題作はどうしても嫌なあり方。

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2009/10/04

恋愛のどうしようもなさみたいなのがたまらない。表題作は登場人物の性別がわからないようになっているのだけど、ビアンっぽい感じに訳された「おばかさんなふたり」と比べてみるのも楽しいかも。皮膚が薄い感じの作品。

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