子どもを歴史好きにする面白小話集(上巻) の商品レビュー
歴史授業を進めていく際には必携の本である。授業に色をつける魅力的な小話集となっている(雑学本とも異なり、読みものとして一つひとつを扱えるところも現場人の発想だなぁと感じる)。「子どもにも読めるように」ルビや解説、イラストが入っているところに、子どもを大切にして、授業をして「歴史好...
歴史授業を進めていく際には必携の本である。授業に色をつける魅力的な小話集となっている(雑学本とも異なり、読みものとして一つひとつを扱えるところも現場人の発想だなぁと感じる)。「子どもにも読めるように」ルビや解説、イラストが入っているところに、子どもを大切にして、授業をして「歴史好きの子どもを増やしたい」という有田先生の強い思いを感じる。 ① 興味を引く「見出し」 どの見出しも「えっ!」と注目させるものである。子どもたちが調べたくなる発問のある授業を常に追い求めていた有田先生だからこそできるものである。子どもたちの驚く表情が浮かんでくるものばかりである。具体的には「縄文人に虫歯はあったか?」「大仏づくりに公害はあったか?」「元の敗戦は地理の勉強不足が原因?」このような問いが出てくると、子どもたちは「どういうこと?はっきりさせたい!調べたい!!」という追究意欲を高めることができるだろう。子どもたちへの意欲づけと教師の発問と本につける見出しは結びつくことができる。 ② 短く、コンパクトにまとめられている 一つ一つの話が1~2ページでまとめられている。授業のすき間時間に話したり、学級通信で紹介したりすることができるだろう。子どもたちはこのような小話が大好きである。一見、授業から脱線しているかのように見えるが、これらの話から追究を進めていくことで、授業の本線へと進めることもできるようになっている。本書にあるこれらのネタの選択も、有田先生が実際に子どもたちへ話してその反応という裏づけがあるのだろう。 ③ まだまだ深い話がある「おもしろ情報」 これだけコンパクトにまとめられるためには、それ以外の多くの情報が入っていなければできないことが、容易に想像できる。有田先生の教材研究の深さを改めて思い知ることになる一冊である。また、このことは授業づくりについても同様であり、発問(=ここでは見出し)が鮮明になるまで教材研究を続けていくということである。さらに「これぐらいの教材研究は授業をつくっていく上で必要」という、有田先生から私たちへのメッセージでもあると読みとった。 子どもたちを歴史好きにするために本書は常においておきたい。ルビもあるので、子どもたちが読むために活用することも可能である。「おもしろさ」こそが「○○好き」を育てていくのである。
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