シャクシャイン戦記 の商品レビュー

大森光章(著者)

2019/01/14

　アイヌって文字なかったんですよね。だから小説に形づけるまでのディテールを想像力をフル発揮して盛り込むの、資料不足が常態ですから大変だったと思うんです。
　シブチャリ（静内）の英雄シャクシャインが松前藩に謀殺されるまでの物語ですが、鉄砲隊を抱える戦力優位な松前藩との中途半端な感じで終わった戦いよりも、それに至るまでの対等戦力でのアイヌ民族間でのハエ（門別）のオニビシとの抗争の描写が非常にダイナミック。
　人物表示のみならずアイヌ語での地名表示しかでてこないので本の冒頭に挟まれてる地図（それも全ての地名は載っていない）を何度も繰り読みしながらだったのですが、筆力ゆたかな著者で、予算が許せばドラマ化映画化にピッタリな作品といえます。北海道に住んでいない人でも楽しめる戦闘作品です。