ライン の商品レビュー
考えさせられる
電気信号を読む能力を持つ女の子を陰の軸とした、20の短編。わずかに繋がりあう人々によって、切り替わる視点。そこから浮き上がる、現代社会の問題に対して、説教や解決策など示されない。ゆえに、考えさせられる。
abtm
登場人物たちの経験とか、その先にある感情とか、全部が聞いたことも見たこともなくて、理解するのが難しかった。でも、なめらかに主人公が移り変わっていくテンポとか、「ライン」を通じて他者のやりとりを盗み聞きできてしまう設定は、すごく好きで癖になるなあと思った。
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著者の作品は初めて読んだけども…病んでて暴力的。エグくて、でも特にカタルシスがあるわけでもないので、あんまり私には合わなかったかも。緩やかにさりげなく語り手が交代していく手法はとても面白いと思った。
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様々な人のネガティブな面から、人と人の関わりから見える内面が垣間見えた。決してポジティブにはならないし、気分も上がることはない。もう読もうとは思えないし、読んだことを後悔している自分もそこにはいる。
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村上龍の作品を一度は読んでみたかったので。 私がこんなのほほんと暮らしてるのが心配になるくらい危険はいろんなところにあるって気付かされました。暴力ばっかやな。暴力短編集みたいな。 でもなんか気になって一気に読んだ。 なんだか気になるんだよなー。
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『自分が話すことはほとんど嘘ばかりだが、他人を感動させたり、恐れさせたり、影響を与えることができれば、それが真実でも嘘でもどうだっていい』 『決して回答できなかった問題を繰り返し呟く…母親は貧乏だが正直な人だった』 18人の物語が順に繋がっている。ドラッグ、セックス、暴力。著...
『自分が話すことはほとんど嘘ばかりだが、他人を感動させたり、恐れさせたり、影響を与えることができれば、それが真実でも嘘でもどうだっていい』 『決して回答できなかった問題を繰り返し呟く…母親は貧乏だが正直な人だった』 18人の物語が順に繋がっている。ドラッグ、セックス、暴力。著者の作品はいつも読み辛くなって、一旦置いてもまたすぐに続きを読みたくなる不思議。 『人間は他人によって自分を確認している…もしそれが正しいのだったら…わたしには他人というものがいない』
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薄っぺらいもの、イージーなものに触れていると人間は暴力的になる。トートロジーだが、暴力はイージーの最たるものだ。断っておくが、決して、本書がイージーだというわけではない。 本書は近代という大きな物語が終わった後の物語だ。関係性は切れ切れだ。著者はあとがきでかいているが、大きくは...
薄っぺらいもの、イージーなものに触れていると人間は暴力的になる。トートロジーだが、暴力はイージーの最たるものだ。断っておくが、決して、本書がイージーだというわけではない。 本書は近代という大きな物語が終わった後の物語だ。関係性は切れ切れだ。著者はあとがきでかいているが、大きくはポスト近代の物語として解釈できる。 登場人物に、共通なのは、葛藤がない、自分がない、ということだ。いみじくみ最後のユウコの感慨が「わたしには他人というものがない」であった。 しかし、可能性はある。「信号というのはそういうものじゃない」とのユウコのセリフがその唯一の鍵だ。自他を分けるもの。違和感がここにある。 田口ランディの解説に「病む」ことが「ライン」を抜けるゲートとあった。その通りだと思う。異常性に悩む、逸脱を抱え込む。そこにしか人間らしさはない。
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現代の人生の薄暗さに打ちのめされながらも、一気に読んでしまった。 この小説が書かれてから20年くらい経っているけど、人々の間の空気はほとんど変わっていないと思う。
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村上龍ならではのどぎつさ、生々しい感じがどこまで受け入れられるかというところ。まだLINEなどなかった時代の小説だが、人のつながりをラインと題したところが作者の先読みの鋭さを出しているのだろうと今になって感じる。
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人と人はつながってる。色々な接点もしくは線、面で。様々な人が出てくるが、その色それぞれに魅力的である。 スマートフォンのアプリ「LINE」を著者は先取りした部分もあると思う。やはり著者は凡才ではない。
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