生涯学習時代の成人教育学 の商品レビュー

渡辺洋子(著者)

2012/10/24

大人が学ぶプロセスは、子どもが学ぶプロセスとは異なります。

生涯学習時代の成人教育学ということですが、
大人の学びが注目されてきたのは近年になってからです。

それまで、教育といえば、子どもにどう教えるかという教える、教わるという関係が重視されていたからです。

学習者の主体性の重視から、教えることとともに学びも重視されるように変わってきました。

そして、さらには社会の激しい変化にともない、大人も学びつづけることが豊かに生きるのにおおいに役立つようになってきています。

そして、この学びの権利については、世界中で見たらまだまだ守られていない国々もあります。

大人の学びの仕組みと、それを支える理論的背景にどのようなものがあるのか、扱っている範囲は広く興味深い内容に満ちた1冊です。

成人のための学習権や学習環境がどのようにとらえられてきたのか、
その制度と理論の時代変遷を学べます。

”子どもと比較して、機械的な記憶力や再生力が低下している成人にとって、互いに関係のないばらばらな事がらを学ぶことは、不得手である。だが、一つ一つの事象を経験や既知の事柄と関連づけ、意味をもたせていくと、子どもよりずっと容易にそれを理解し、学ぶことができる。すなわち、おとなは、様々な事がらの相互の関係性に注意を払いながら、それぞれの項目を自分の「認識枠組」の中に位置づけていくのであり、全体を「意味をもった全体」としてまとめて理解する力を身につけているのである。”

2022/11/20

　生涯学習は、成人期を迎え過ごしてゆくすべての人にかかわる問題であるのだと認識を新たにした。卒業・就職してのちにいかにして学びを続けてゆくかということがタイムリーな関心としてあったので。

　学習ニーズは「『今ある自分』と『変わりたい』自分との間のギャップから生まれるものである」。そう思うと、学習機会はあらゆるひとに与えられるべきで、高学歴・高収入の一部のひと（学ぶ余裕がある層）にだけ限られるべきものではないのだと感じる。誰だって程度の差はあれ「変わりたい」自分をもっている気がする。誰もがもつはずの潜在的な学習ニーズをどのようにして顕在化させるのか、具体的な方法を知りたい。