言語起源論 の商品レビュー
ベルリンアカデミーの懸賞論文として出版される。当時の一大関心事であった、言語の起源に関する問題への解答が第1部であり、第2部はその解答を支える人間学的洞察である。当時の論争では、おおまかに言って、言語神授説と動物的感覚からの延長によるとする説があったが、ヘルダーは両者を、当時の人...
ベルリンアカデミーの懸賞論文として出版される。当時の一大関心事であった、言語の起源に関する問題への解答が第1部であり、第2部はその解答を支える人間学的洞察である。当時の論争では、おおまかに言って、言語神授説と動物的感覚からの延長によるとする説があったが、ヘルダーは両者を、当時の人間学的洞察や様々な民族の特性・言語の特性に関する記述を駆使して論駁していく。ヘルダーは言語を人間的活動の中心に据える点でハーマンと共通するが、言語を人間の本性によって創造されたものとする点で、ハーマンと袂を分かつ。18世紀といえば啓蒙的理性主義の時代として知られるが、その理性の根源が何かを突き止めようとする試みの一つとして、いまなお問題視される重要な著作であろう。
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