横溝正史自伝的随筆集 の商品レビュー

横溝正史(著者),新保博久(編者)

2020/11/20

以前とあるテレビ番組で横溝先生の作品にはご自身の複雑な家庭環境が影響している、その家庭環境についての随筆が出ていると紹介されていて読んでみた。
確かに『犬神家』や『悪魔の手鞠唄』を彷彿とさせるような複雑な家族、家庭環境。
しかしそれで卑屈になったということはなく、内向的で少々困った癖もあったようだが、家族や友人に恵まれているし、長じてからは乱歩先生はじめ沢山の仲間たちや出版社の上司や作家さん仲間など沢山の人々に支えられ助けられ、あくまでも横溝先生目線ではあるけれど、幸せな人生だったように思える。
時代が時代だけに、病気で若くして亡くなられたりした友人や家族もいたり、ご自身も何度も喀血されて度々筆を休めないといけなかったり、戦時中は小説を書けなかったり大変なこともあったようだが、それもまた振り返れば一つの歴史なのだろう。
ご家族のその後や関係など、もう少し詳しく知りたかったので、そこについての随筆が途中打ち切りになったのは残念。