十三角関係 名探偵篇 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
歓喜先生がキョーレツ! できすぎな美女に圧力を感じる男性の話が多い? 全体的に男性目線なのでいろいろ言いたいこともあるけど、こういう後味は悪くない。どろっとしたこの感じ。 何が善で何が悪なのか混沌としてしまう余韻。 「まったくのところ、新聞はそれほど信用すべきものじゃあないからな。事実半分、嘘半分」 「職に貴賎はないぞ。職に貴賎はないが、人間に貴賎はあるぞ。」 「わしは、真の悪党というのもは、決して悪いことはせんものだといいたかったのです。・・・すくなくとも、ただこの世のつめたい傍観者にすぎないだろう。」 「悪をなしながら、それでも善良なひとであり得る。すぐれた女性になり得る。」 「三人が宿屋にとまったら、宿賃が30円だったので、ひとり10円ずつ出した。ところが、帳場のほうで5円負けてくれたのだが、女中がかえしにくるとちゅう2円ごまかして、3円だけもってきた。それを三人で1円ずつわけたので、結局9円ずつの宿賃を出したことになるから、したがって三人の合計は27円。女中のくすねたのが2円で合計29円。さて最初の30円のうち1円どこかに消滅してしまった。」 大好きな百けん先生の随筆にあるらしいけど、面白すぎる。
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友人に勧められて初山田風太郎作品。めっさ好みなんですけど。そしてやっぱり怪盗という響きに弱い自分。 荊木歓喜先生好きだ。この人のネーミングセンスも好きだ。
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新宿のボロアパート・チンプン館(このセンスが素敵♪)に住む医者、荊木歓喜先生の事件簿。クセになります風太郎。
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七つの短編、ひとつの中篇と、表題作の長編とで構成されている。一話ごとに色合いが違って見えるのは、その舞台設定の特異さ。退廃し霧がかった仄暗い雰囲気の中、いたるところに殺意の種はばら撒かれ、残酷で容赦のない事件となって発芽する。探偵役の荊木歓喜が面妖なるキャラで、それがそっくりその...
七つの短編、ひとつの中篇と、表題作の長編とで構成されている。一話ごとに色合いが違って見えるのは、その舞台設定の特異さ。退廃し霧がかった仄暗い雰囲気の中、いたるところに殺意の種はばら撒かれ、残酷で容赦のない事件となって発芽する。探偵役の荊木歓喜が面妖なるキャラで、それがそっくりそのまま全体の雰囲気として、物語の底辺に沈殿しているのだ。 トリックは一見地味に見えるが、短編各話が短いため、どうしても小粒な印象になるのだろう。この奇抜な着想を最大限活用すると、島田荘司のようなアクロバティックな仕掛けへと発展する。感服したのはそのテンポの良さ。文章のリズムが抜群で、センテンスの最後でぴったりおさまる感覚は、読書というより活弁を堪能しているよう。あえて選ぶベストは『帰去来殺人事件』。
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