母の男言葉 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
人は生まれて、生きて、必ず死ぬ。わかっている事はそれだけだ。1人で生きて、1人で死ぬ。だけれども、人は生きていけば、限りない出会いをする。その出会いが全てだと思う 若くして出世の道を絶たれ、その山間の田の検分に歩く武士が、この風景を見て、人間の営みの根本のようなものを肌で感じる。そんなことを勝手に想像してしまう プロ野球選手はほとんどが、若い時から街道を歩んで、球界に入る。スターは人の痛みなど、よほど運が良い人生と巡り合わないとわからない。
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著者のノンフィクション作品を読んだ大抵の人は、この人はずるいなと思うのではないか。酒、ギャンブル、旅回り、借金、とろくでなし風情を装っていながら文筆業を中心に芸能界隈で確固たるポジションを持っており、仕事が絶えることがない。当作もどこぞの酒場で呑んで二日酔いだ、とそんなことばかり...
著者のノンフィクション作品を読んだ大抵の人は、この人はずるいなと思うのではないか。酒、ギャンブル、旅回り、借金、とろくでなし風情を装っていながら文筆業を中心に芸能界隈で確固たるポジションを持っており、仕事が絶えることがない。当作もどこぞの酒場で呑んで二日酔いだ、とそんなことばかり書き連ねられているようだが、花の、それもふりがながなければ読めないような漢字の花の描写で始まる編が多く、著者のユニークなセンスのひとつであると思う。 世の出来事についてご意見している編も多い。御託はあまり並べず、一市民の見識を手短に語るシンプルな姿勢は潔く無理がない。やくざな生き方をしているようで、家族や野球を通して多くを学んできたことが伺える。 それにしても伊集院静は男の興味をくすぐる要素に満ちており、どうしても羨ましく思ってしまう。やはりずるい。
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草花や木がよく出てくる。寄生木(やどりぎ)と衝羽根(つくばね)を調べてしまった。 2000年頃に書かれたエッセイだが、伊集院さんが以前から会いたいと思っていたカメラマンが鴨志田穣さんで、初めて会ったとき、「澄んだ目をした人だナ」と思ったことが書かれてあった。同席していた西原さんの...
草花や木がよく出てくる。寄生木(やどりぎ)と衝羽根(つくばね)を調べてしまった。 2000年頃に書かれたエッセイだが、伊集院さんが以前から会いたいと思っていたカメラマンが鴨志田穣さんで、初めて会ったとき、「澄んだ目をした人だナ」と思ったことが書かれてあった。同席していた西原さんのことは「不良少女」と書かれている! 伊集院さんの作品を読むと背筋が伸びる気がする。筋が通って気持ちがいいし優しさがある。大事な弟と妻を亡くしたことや、両親の影響が大なのだろう。 三好達治の「雪」にも久しぶりに触れられた。今年雪が降ったら息子に読んで聞かせよう。
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