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健康の謎を解く の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2023/05/06

知り合いから薦められて購入しました。私自身は保健や医療分野とは何の関係もないのですが、考えさせられることが多い良書でした。原著は1987年に出版されたもので、日本語訳は2001年に出版されているようです。本書の主題は、健康はどう生成されるのか、という問いかけです。それまでの医学界...

知り合いから薦められて購入しました。私自身は保健や医療分野とは何の関係もないのですが、考えさせられることが多い良書でした。原著は1987年に出版されたもので、日本語訳は2001年に出版されているようです。本書の主題は、健康はどう生成されるのか、という問いかけです。それまでの医学界では、病気の原因を突き詰めて、それを取り除くという「疾病生成志向」が強かった。それに対して著者(アントノフスキー)は、健康と病気を一本の線上の両極ととらえて、人間を健康方向に向かわせる要因があると主張し、それを首尾一貫感覚(SOC)と名付けたわけです。まさに視点の180度の転回であって、著者はこれを「健康生成志向(サルートジェネシス)」と呼んでいます。 SOCはさらに3つの構成要素(「把握可能感」「処理可能感」「有意味性」)からなります。私はこれを理解するにあたって、「コロナ禍でも健康を維持している人」を想像し、この3つの構成要素をあてはめながら本書を読みました。コロナ禍の文脈でいうならば、把握可能感とはコロナ禍に直面して一体何が起こっているかを自分は体系的に理解できると思う度合いです。次に処理可能感とは、自分は様々なリソースを活用することでコロナ禍にも対応可能だと思う度合いになります。そしてコロナ禍に直面した中で自分が日々行っている行為について、意味を感じる度合いが有意味性です。たとえばエッセンシャルワーカーと呼ばれる人々は、人々の生命維持活動に寄与していると感じることで、高い有意味性をもっていることになります。3つすべてが高ければその人のSOCは高く、コロナ禍という困難な状況に置かれてもそれを乗り越えるだけでなく、健康を維持することが可能だというわけです。 本書は主にアカデミックの研究者を念頭に書かれた本であるため、一般人、さらには保健や医療分野から遠い人が読むにはかなり難しい本ではあります。SOCという概念がいかに有効かについて、統計分析や他の類似研究を参照しつつ丁寧に解説していますが、私自身はそのパートについてあまり理解ができませんでした。ただSOCという概念および3つの構成要素、さらにはSOCを支えるGRR(汎抵抗資源)というコンセプトについては、理解できましたし腹落ちもしました。GRRを私なりに解釈すると、困難に直面した際に各人が動員できる資源のことで、手持ちのお金だけでなく、家族・友人・知人の支援、さらにはコミュニティや政府の支援策なども含まれます。著者は米国や(自身の母国の)イスラエルだけでなく、日本も例に出して、SOCやGRRという概念が文化の枠を超えても有効であることを述べています。 その他、SOCが人生を通じてどう強化されるのか、幼少期の経験がどうSOCに影響を及ぼすのか、また身体的健康だけでなく精神的な充足度などのウェルビーイングに及ぼす影響や、個人ではなく集団としてのSOCという概念があり得るのか、など幅広い論点を提示しています。そのうちのいくつかは未来の研究者に回答を託してはいましたが、多面的な視野を提供することで、読者のSOC理解が進むよう工夫していると思います。難解で読みやすい本ではありませんでしたが、門外漢でも読む価値のある非常に骨太の本だと思います。

Posted byブクログ

2015/02/17

考え方で健康度に差が出るのは確か。サルートジェネシスということになるのだろうけれど。腑に落ちたような落ちないような、ということは納得していないがどこが納得していないのかわからない 何回か読むのかなあ

Posted byブクログ