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ニセモノ師たち の商品レビュー

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2021/03/15

おもしろーい! なんでも鑑定団でおなじみの、中島誠之助著「ニセモノ師たち」 2001年10月発行、13年も前に出た本です。 ちゃんとした骨董商は鑑定をしない。 自分で見て、判断して、買い、売るのが基本であり、 人の持ち物の鑑定は決してしない。 どうしてもの事情で引き受けても、 ...

おもしろーい! なんでも鑑定団でおなじみの、中島誠之助著「ニセモノ師たち」 2001年10月発行、13年も前に出た本です。 ちゃんとした骨董商は鑑定をしない。 自分で見て、判断して、買い、売るのが基本であり、 人の持ち物の鑑定は決してしない。 どうしてもの事情で引き受けても、 それが本物だろうがニセモノだろうが言わない。 お茶を濁す程度のコメントだけを言う。 鑑定というのは、本物だとたくさん鑑定料をもらえ、 ニセモノだと安く、下手をすると1銭も出ない、 その上、恨まれるばかりだという。 だから、鑑定書がついている骨董品はニセモノが多いという。 また、鑑定書のニセモノもあり、鑑定書を鑑定することも必要とのこと。 鑑定書と、保証書とは違うことをよく心せよ、とのこと。 ニセモノをつくるすご技師たちの話もおもしろい。 技術力からすると本物を作った作家に匹敵する人もいる。 土をつけたりして古いものにしているプロの「汚し屋」もいる。 杯なんかは、実際に自分で酒を飲んで接着剤の跡を消したり、 ”手あか”をつけたりして古さを長時間かけて出していくこともある。 プロの骨董商は、ニセモノをつかまされても決して文句は言わない。 自分に見る目がなかった、と自分の糧とする。 骨董商同士、ニセモノと分かっていながら売り買いをするケースもある。 大昔にニセモノをつかまされた復讐を、 大金をかけて果たすスパイ大作戦のような実話。 本物かニセモノかの判定は、 実物を見る前、その骨董品にまつわる話を聞けば判断できる。 とくにどうして売ることになったかという話にはパターンがある。 戦前の東大以外の帝大を出た人が騙されやすい・・・・ などなど、著者自身が騙された経験、 片棒を担がされた経験などがたくさん語られていて、 実にリアルで楽しいお話でした。 私も取材したことある大阪の有名骨董店の話も出てきました。

Posted byブクログ

2021/04/18

なんでも鑑定団の中島誠之助。なんとなく、味のある人物。 あのような落ち着きが生まれるには、相当の修羅場をくぐってきたと思う。 この本を読みながら、「騙されたほうが、悪い」という業界が、 骨董品業界の常識なんですね。 そして、中島誠之助も相当 「夜の梅」的なことをしてきたのだなと納...

なんでも鑑定団の中島誠之助。なんとなく、味のある人物。 あのような落ち着きが生まれるには、相当の修羅場をくぐってきたと思う。 この本を読みながら、「騙されたほうが、悪い」という業界が、 骨董品業界の常識なんですね。 そして、中島誠之助も相当 「夜の梅」的なことをしてきたのだなと納得した。 そうであるがゆえに、目利きとなり、誠実になろうとしている。 何しろ「誠之助」だから、名前に負けないような いい仕事をするのだろう。 確かに、骨董品は、限られているものであり、 「代々伝えられ、守られるべき品であり」、 増えて、生産されるというものではない。 その限られたものを、どう評価し、価値をつけて、商品にするか? にかかっているので、ニセモノの存在は、売れる商品が広がるので都合がいいのだ。 ニセモノに引っかかる3つの条件は ①その品物を買ったら儲かると思った時  骨董の言葉で言えば、「ヤマが深い」つまり「欲が深い」 ②勉強不足;マニュアルを超えた美意識、広範な知識としての時代背景の研究、経験による感性の訓練がいる。 ③お金があること。 なるほど、まさしくそうだ。詐欺にはまりやすい人も、これに当てはまる。 そして、「骨董を見分ける前に、まず人間が見分けることができるか」ということだろう。 無欲で、出発点を高くすれば、美意識が磨かれる。 知識すなわち学問が土台になって、その上に美が成り立っているのはアンバランス。 身体で覚えた、感性で覚えた人が勝利する。 いやはや、骨董品で、本当に 世界が学べるものですね。 「いい仕事してますね」

Posted byブクログ