銀の仮面 の商品レビュー
好きだなあ。作者の人ぎらいの不満が炸裂。しかし物語1つ1つ短すぎて、もうちょっと盛って欲しい。昨今、「俺なんかマイノリティの人間だから」とか言って、自分特別扱いしたがる人間多いけど、この現象も、自分で言うなよ、と言ってしまいたい図式になっているが、この本は、真のマイノリティの人間...
好きだなあ。作者の人ぎらいの不満が炸裂。しかし物語1つ1つ短すぎて、もうちょっと盛って欲しい。昨今、「俺なんかマイノリティの人間だから」とか言って、自分特別扱いしたがる人間多いけど、この現象も、自分で言うなよ、と言ってしまいたい図式になっているが、この本は、真のマイノリティの人間の生きずらさ、葛藤、怒り、苦しみ、憎悪がえがかれていて、楽しい。
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奇妙な味で有名な作品集。気付いたら恐ろしい状況の中心に放り込まれるような物語は恐ろしく、しかしながら不思議な魅力と余韻がありました。 中でも表題作『銀の仮面』は主人公のお人好しさと周りの人の露悪的な行動が凄まじく、初読時、放心してしまいました。
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図書館で。米澤選アンソロの長老の話が面白かったので借りてみました。 銀の仮面 う~ん、正直、コワイ。情けは人の為ならずの正反対というか情けが身を滅ぼすみたいなお話。未婚の女性ってだけでそれだけ軽んじられるんだろうか。コワイ。 敵 どうにもこうにもいけ好かない人物と...
図書館で。米澤選アンソロの長老の話が面白かったので借りてみました。 銀の仮面 う~ん、正直、コワイ。情けは人の為ならずの正反対というか情けが身を滅ぼすみたいなお話。未婚の女性ってだけでそれだけ軽んじられるんだろうか。コワイ。 敵 どうにもこうにもいけ好かない人物というか恐怖まで感じる時ってなんかわかる気がする。その後、あの感情はなんだったんだろう?と思う事も。彼が最後親友と言ったのは罪悪感ではないんだろうな。 死の恐怖 奥さん怖い。というか外見でそれだけ嫌われる人物ってなんだかな。 中国の馬 中国の馬ってイディオムとかあるのかしらん? 妥協しない主人公、強い。でも結婚してもよかったんじゃないかと現実的な自分は思う。 ルビー色のグラス やはり犬が人類最良の友って事なのか。まあ今どきの人の最良の友はスマホかもしれないけど。 トーランド家の長老 おばあちゃん視点だと可哀想の一言なんだけど正直アハハと笑ってしまう感じ。悪気はないんだ、奥さんは。悪くない訳ではないけれども。 みずうみ 男の嫉妬コワイ。 海辺の不気味な出来事 虎 都会で野生動物に襲われるような恐怖を感じるって…なんか日本のSFにもあったけどこの作品からインスパイアされたんだろうか。主人公は早々にイギリスに帰ってればよかったのにと思ったりする。 雪 ちいさな幽霊 思うに地縛霊なんだろうか。地縛霊も勝てない家族。なんかちょっと違うけどビートルジュースみたいだな。
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アンソロジーで『銀の仮面』を読んだ時と、こうして著者の作品集の中で読むのとでは全く受ける印象が変わったことが一番の驚きだった。 ほかに10作が入っていたが、どれも著者を反映しているのか、人づきあいに対して異常に気にかける人物がよく登場する。そしてそんな人物が「敵」とする相手は、通...
アンソロジーで『銀の仮面』を読んだ時と、こうして著者の作品集の中で読むのとでは全く受ける印象が変わったことが一番の驚きだった。 ほかに10作が入っていたが、どれも著者を反映しているのか、人づきあいに対して異常に気にかける人物がよく登場する。そしてそんな人物が「敵」とする相手は、通常、私たちが見れば、ごくごく普通の人物である(ややおせっかいな人もいるが)。登場人物の心理は正直(自分には)理解できないものばかりだったけれど、文章運びがうまくて非常に読み易い。 IとⅡに訳者が分けており、後半Ⅱに集められた作品はあきらかに幽霊譚であるが、これもⅠと根本的には似ていて、その異常現象を受け取る側がすでに普通の心理状態ではない感じがある。そこを恐怖と感じられるかどうかで、この作品集が魅力的かどうかが違ってくると思った。
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英国ゴシックロマンスの濫觴、『おとらんと城綺譚』を書いたのはホレス・ウォルポール。実際にロンドン郊外に城郭風の住まいを建築し、そこでこの物語を執筆したという。さすがに血は争えないものだ。その子孫にあたるヒュー・ウォルポールは、コンウォールに居を定め、数多の怪奇幻想小説を執筆する。...
英国ゴシックロマンスの濫觴、『おとらんと城綺譚』を書いたのはホレス・ウォルポール。実際にロンドン郊外に城郭風の住まいを建築し、そこでこの物語を執筆したという。さすがに血は争えないものだ。その子孫にあたるヒュー・ウォルポールは、コンウォールに居を定め、数多の怪奇幻想小説を執筆する。その代表作とも言える『銀の仮面』を「奇妙な味」という言葉ではじめてわが国に紹介したのは、あの江戸川乱歩であった。ひとり暮らしの中年女性の母性をうまく利用することで、その家に少しずつ近づいた男が、最後には家族ぐるみで家を乗っ取ってしまうというのが、そのあらすじである。善意の隣人が次第に悪意ある占拠者となるという、近頃では、時々見かけるパターンの作品だが、この作品をもってその種の恐怖を描いた作品の嚆矢とする。 乱歩が「奇妙な味」と名づけた訳は、犯人が通常のミステリには出てこない型の人物であったからではなかったか。イノセントの悪とでも言おうか、『銀の仮面』を例にとれば、最後には当主である婦人を一室に閉じこめてしまう青年は、外見はあくまでも美しく、物腰もやわらかで、第三者から見れば、悪意なぞかけらも見えないという紳士的な人物として描かれている。彼の悪意を知るのは、主人公ただ一人で、しかもそれを誰にも証明することができない。もし、自分一人が目をつむれば、どこにも犯罪の匂いがしない、そんな犯罪を描いた作品に、乱歩は「奇妙な味」を感じたのである。 『銀の仮面に』に限ったことではない。ウォルポールの作品には、この種の人間の心理のあやを巧みについた佳編が多い。たとえば、『敵』。チャリング・クロスロードで小さな書店を営む独身男は、自分の仕事を愛し、必要以上に他との接触を欲していない。ところが、この男の家の近くに住む隣人は、何が気に入ったのか、彼を話し相手にしようとしていつも待ち構えている。男はこの隣人を敵だと認識する。ところが、彼が死んだ後、男は急に彼の存在が愛おしく思えるようになる。絶対に自分と接触できなくなってはじめて相手に対する愛情を認識するという皮肉。しかし、自分に対する過剰な干渉は不愉快だという、この心理は、当今の読者ならたやすく感情移入できるだろう。実際、今読めば、主人公に対する共感の率がふえ、物語世界を破壊しかねない設定である。 ウォルポールの作品には、多くの人物は登場しない。いつも、主人公は孤独な存在であり、彼或いは彼女を理解できるのは、彼等自身か、彼等に憎まれながらそれを知らずにいる相手役くらいのものだ。この作者を特徴づけるのは、自分の近くにいる人間に対するアンビヴァレンツな感情が引き起こす葛藤を描く物語群である。内向的な人間にとって、遠くにいる人間ははじめから視野の外にある。普通、一般の人間なら、自分の周りにいる多くの友人知人に拡散していく愛憎が、この種の人間にとっては、近くに人がいないために、たまたま近くにいる数少ない友人に集中的に投影される。その過剰な投影は必然的に歪みを帯び、愛するが故に憎むという二律背反的な心理を呈するに至る。 超自然の怪異や、人間心理の陰影を鮮やかに切り取った作品を並べた短編集である。いかにも怪談といえる作品も何編か収められているが、おどろおどろしい恐怖怪異譚はあまりない。日常的な営為の中にあって空間に裂け目が生じることがある。その小さな切れ目から入り込んでくる「向こう側」の世界を、淡々とした筆致で描くのがうまい。静かな冬の炉端、灯りを落とした室内で、ゆっくり賞翫するに相応しい佳編揃いのアンソロジーと見た。
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米澤穂信の100冊その30:思いもしなかった「型」を示されると、啓蒙される。とのこと。一番のお気に入りは最高のブラックジョーク「トーランド家の長老」。
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淡々と、人の内面をまざまざと見せ付けるような短編集。読後自分がなにか悪いことをしたような変な気持ちの余韻が残った。「敵」という話が一番気に入った。
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