児童文学最終講義 の商品レビュー
船越桂さんの作品が表紙になっていて目をひかれました。もともと児童文学に詳しかったわけではないですが、猪熊葉子さんの訳した本(ストーの「マリアンヌの夢」やピアスの「まぼろしの小さい犬」が大好きです)が私にとってはすごく読みやすく、印象に残っていたため手に取りました。 猪熊先生の育っ...
船越桂さんの作品が表紙になっていて目をひかれました。もともと児童文学に詳しかったわけではないですが、猪熊葉子さんの訳した本(ストーの「マリアンヌの夢」やピアスの「まぼろしの小さい犬」が大好きです)が私にとってはすごく読みやすく、印象に残っていたため手に取りました。 猪熊先生の育った環境のことなど書かれていますが、 私自身の親との関係性と似ているなと思うところがあり、児童文学に惹かれていった経緯には共感できる部分が多かったです。 読んだことのない本の名前がちらほら出てきたので、読みたい本のリストに追加ができました。 私は児童文学を読むと、自分の人生の洗い直しができるような気がするんですよね。 児童文学という名称だからか敬遠する人も多いけど、もっと大人も児童文学を読めばいいのにと思いました。
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児童文学研究者猪熊葉子さんの白百合女子大での最終講義録。歌人でもあった母との相克、児童文学の研究が格の低いものだという周囲の無理解、さまざまなことに苦しめられながらも、子どものころ、つらい家庭生活から逃れるために読んだ幸せな物語の記憶が、やはり猪熊さんの原動力になっていた。 その...
児童文学研究者猪熊葉子さんの白百合女子大での最終講義録。歌人でもあった母との相克、児童文学の研究が格の低いものだという周囲の無理解、さまざまなことに苦しめられながらも、子どものころ、つらい家庭生活から逃れるために読んだ幸せな物語の記憶が、やはり猪熊さんの原動力になっていた。 その児童文学の特質が70年代からしだいにリアリズム小説のほうへ転換していったという指摘もあり、そこらへんはもう少し詳しく知りたかったかなと。 最後に猪熊さんは自分のことを「芸術家にはなれない凡庸の権化」と言っていて、おそらくそれは軽い謙遜などではなく本気で深くそう思っているのだろうと感じた。石井桃子もだけど(彼女は創作もたくさんしたけど)やはり「創作」というのが、魂のめざす高みなのだろうか。翻訳も十分すごいと思うんだけど。
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