言葉の二十世紀 の商品レビュー
出版当初は扱われている例や叙述のスタイルから忌避していた本書の文庫版を繙いてみたが、ソシュールを踏まえた基本的な言語理解に、言葉のもつイメージの喚起力を加味しながら、ソシュール的差異の体系を超える「雰囲気的同一性」の世界を後期ハイデガーの言語哲学にもとづいて展開する手際は見事。ま...
出版当初は扱われている例や叙述のスタイルから忌避していた本書の文庫版を繙いてみたが、ソシュールを踏まえた基本的な言語理解に、言葉のもつイメージの喚起力を加味しながら、ソシュール的差異の体系を超える「雰囲気的同一性」の世界を後期ハイデガーの言語哲学にもとづいて展開する手際は見事。また、ベンヤミンとの対比も示唆的である。しかし、なぜ議論の根源的な次元で日本的情緒に流れるのだろう。もしかすると、その点が本書の発想のハイデガー的なところなのかもしれない。
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