1,800円以上の注文で送料無料

リルケ の商品レビュー

3

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/12/16

執筆者の一人である星野慎一が本論を担当しています。星野の逝去によって未完に終わった原稿に、小磯仁が年譜や参考文献を補填し、「序論 リルケと星野慎一」を書き加えることになったとのことです。 リルケの生涯と、『マルテの手記』や『ドゥイノの悲歌』、『オルフォイスへのソネット』などの主...

執筆者の一人である星野慎一が本論を担当しています。星野の逝去によって未完に終わった原稿に、小磯仁が年譜や参考文献を補填し、「序論 リルケと星野慎一」を書き加えることになったとのことです。 リルケの生涯と、『マルテの手記』や『ドゥイノの悲歌』、『オルフォイスへのソネット』などの主要作品の解説のほか、リルケの俳句への傾倒についても1章を当てて解説がなされており、星野の独自の解釈が示されます。それによるとリルケは、上島鬼貫の俳句に触れたことがきっかけで、自然界の小さな存在が人間と同じ次元の世界に同格で存在するという、西欧の自然観にとっては異教的な「開かれた世界」へと参入していったとされています。 また小磯は、こうした星野によるリルケの「ハイカイ」解釈が、桑原武夫の「第二芸術論」に対する批判という意味を持っていたことを明らかにしています。 著者の星野独特の解釈が多少目立つ入門書ですが、興味深く読みました。

Posted byブクログ