遠い崖 の商品レビュー
本書は歴史をあつかっているのだが、「アーネスト・サトウ」と「ウィリス」等二人の人間を取り上げることによって、対比できる「人間ドラマ」が見えることも興味深い。 努力と知性で地位の上昇を勝ち取っている「サトウ」と、人間的弱点山盛りの「ウィリス」。 この二人が歩んだ道を読んでいく...
本書は歴史をあつかっているのだが、「アーネスト・サトウ」と「ウィリス」等二人の人間を取り上げることによって、対比できる「人間ドラマ」が見えることも興味深い。 努力と知性で地位の上昇を勝ち取っている「サトウ」と、人間的弱点山盛りの「ウィリス」。 この二人が歩んだ道を読んでいくと、自然に「明治日本」の歩みが頭に入るとはおもしろい。 当然著者は、それを意識して本書に「余話」を入れているのだろうが、「あたかもウィリスはヴァカボンドの生涯を予定されているかの如くであり、他方サトウは勤勉にして着実、重要な人物への階梯を歩むことを約束されていたかのごとくである」とは、人生は「残酷」でもあるということを教えてくれるようにも思えた。 「北京交渉」においては、大久保利通による「日清交渉」の詳細な内実を知ることができるが、本書以外でこのような外交交渉の機微まで踏み込んで教えてくれる本は、あまりないのではないのか。 さすがに、ここまで読むと道は長い。しかし、まだ「西南戦争」の山場がまっている。先が楽しみである。
Posted by
- 1