声を聞かせて、ベト の商品レビュー
ベトナムでドクさんと会って帰ってきてから読みました。 枯葉剤に限らず当事者のレポというのは一番リアリティがあるはず 数字やデータ、客観的視点から詰めていくものもあるけど 生の声は絶対必要。 ドクさんのケースでは。 結合双生児として生まれてきたこと 20世紀最大の手術と十分言い張...
ベトナムでドクさんと会って帰ってきてから読みました。 枯葉剤に限らず当事者のレポというのは一番リアリティがあるはず 数字やデータ、客観的視点から詰めていくものもあるけど 生の声は絶対必要。 ドクさんのケースでは。 結合双生児として生まれてきたこと 20世紀最大の手術と十分言い張れる類稀な分離手術の経験 障がい者としてぶつかる壁 20歳までの歩みが書かれていました。 実際会ったとき、ドクさんは「生まれたときから障害はあるから自分にとって当たり前のこと。」と言っていたが、心の奥底ではふつうに生まれたかったと思っているのではないか、とどうしても考えてしまった。それは私が今まであまり障がい者と接したことがないから全然分かっていなかったのも一理ある。 本を読んでいると、生まれたときから二人くっついていたので本当にそれが当然として、受け入れたうえで育ってきたようだ。 が、自分の思う方向に行けなかったり、肛門や泌尿器は一つしかないから2人で協力しなければならなかったり、本人にとっても壁がたくさんあったことは事実。 ずっと病院で看護師さんに囲まれて育ってきて、子どものときは少し勝手な側面もあったようだが、車イスが来たとき、松葉杖が来たとき、自転車が来たとき(!)、どのときも絶対できると信じて必死に練習した姿が伝わってきた。文字通り、血の滲むような努力だっただろう。 とても貴重な体験談として、ドクさんが本の形にしてくれたことはありがたい。しかし医学・生物学的興味は満たされなかったので、実際どんな手術が行われたのか、ベトさんドクさんが繋がっていた頃のデータや報告などもきっとどこかにあるはずだから、いつか見ることができたらいいなと思う。
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