快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」 の商品レビュー
名著「人間を幸福にしない日本というシステム」の筆者が「プレジデント」連載コラムや対談記事に書下ろしを加えたものが本作です。鋭い提言が随所に見られ、20年前の出来事も他山の石となるような出来栄えです。 特に、自殺者の増加を倫理観や個人的事情に矮小化する傾向を指摘し、日本の政治・経済...
名著「人間を幸福にしない日本というシステム」の筆者が「プレジデント」連載コラムや対談記事に書下ろしを加えたものが本作です。鋭い提言が随所に見られ、20年前の出来事も他山の石となるような出来栄えです。 特に、自殺者の増加を倫理観や個人的事情に矮小化する傾向を指摘し、日本の政治・経済システムの改革につながる政治運動につなげなければだめだというのはさすがの慧眼です。また、今流行りの「アカウンタビリティー(説明責任)」という言葉も著者が広めたという説もあるほど、当時からその重要性に言及している。とはいえ、「説明責任」という主体がはっきりしない曖昧模糊とした日本語訳を悔やんでいる。本来の意味は、国家権力(政治家や官僚)が行う政策決定には須らく国民への説明責任が伴うという意味において使われる(らしい)。翻って、最近の政治家のアカウンタビリティー無視のひどさは目に余る。説明するのが面倒なのか、説明できない事情があるのか、どちらにせよ、国民から選ばれた政治家が国民を蔑ろにしていいはずがない。 日本語訳も素晴らしい。
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