言語的思考へ の商品レビュー
読みやすいが読み応えがあるという、読む哲学書としては 最高の本だった。ただ内容は明らかに現在の哲学や哲学研究 の本流とは離れているものだったので、注意が必要かも。 私はかなり感化されてしまったのだが。同じ筆者の本を何冊 か追いかけてみようと思っている。
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デリダが『声と現象』におけるフッサール批判や、ウィトゲンシュタインとクリプキによって主題的に論じられた規則のパラドクスに関する議論などを、著者自身の現象学の立場から批判的に検討をおこなっている本です。 著者は、言語論的転回以降の反形而上学的な傾向をもつ思想の相対主義的な性格を指...
デリダが『声と現象』におけるフッサール批判や、ウィトゲンシュタインとクリプキによって主題的に論じられた規則のパラドクスに関する議論などを、著者自身の現象学の立場から批判的に検討をおこなっている本です。 著者は、言語論的転回以降の反形而上学的な傾向をもつ思想の相対主義的な性格を指摘したうえで、現象学の立場に基づく本質主義的な言語論を展開しています。また著者は、東浩紀の『存在論的、郵便的』(新潮社)におけるデリダ解釈を参照し、後期デリダが「否定神学的」な発想を乗り越えるような道筋を示していたという意見に一定の評価を与える一方、なおもデリダが相対主義的な立場にとどまっており現象学的な本質論に至っていないことを批判します。そのうえで、「正義」の本質直観に基づく著者自身の社会哲学へ向けての示唆が与えられています。 著者はすでに、『意味とエロス』や『現代思想の冒険』(ともにちくま学芸文庫)などの著作でくり返しデリダのフッサール批判に対する反論を試みていますが、本書ではそうした著者の考えがもっとも詳細に展開されています。著者の立場に賛同するにしろ反対するにしろ、著者の思想を知るためには必ず手にとるべき著作であるといってよいと思います。
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デリダによる現象学批判への再批判を通して、現在のポストモダン思想、分析哲学が陥っている「言語学の謎」が何であるのかを現象学に基づいた分析、その克服の方法を探る。非常に刺激的で興味深い本。 単なる、流行の思想の紹介の本とは全く異なる。
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「言語の謎」というか、言葉は決して一義的に意味を決めることはできないという常識的には当たり前のことを、現代思想はああでもないこうでもないとわざと難しくこねくりまわして議論していたのを、発話者の「意」に対する信憑構造によって言語の意味は決まるとという現象学的還元操作を通して、「神学...
「言語の謎」というか、言葉は決して一義的に意味を決めることはできないという常識的には当たり前のことを、現代思想はああでもないこうでもないとわざと難しくこねくりまわして議論していたのを、発話者の「意」に対する信憑構造によって言語の意味は決まるとという現象学的還元操作を通して、「神学論争」を終わらせることを目論んだ書。 やっぱり難しいことに変わりはない気はするが。
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