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ラモーナとおかあさん の商品レビュー

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2014/06/19

『ラモーナとおとうさん』に続き、『ラモーナとおかあさん』。前作で失業中だったおとうさんは、マーケットの仕事を見つけた。 ラモーナは「7歳半」、なんだか中途半端な年齢で、もうあかちゃんじゃないけど、ビーザスみたいな若いおとなでもない。おかあさんにミシンを使わせてもらうも、なかな...

『ラモーナとおとうさん』に続き、『ラモーナとおかあさん』。前作で失業中だったおとうさんは、マーケットの仕事を見つけた。 ラモーナは「7歳半」、なんだか中途半端な年齢で、もうあかちゃんじゃないけど、ビーザスみたいな若いおとなでもない。おかあさんにミシンを使わせてもらうも、なかなかうまくいかず、おかあさんは「何かもっとやさしいものを縫ったらどうなの」と言うけど、「だって、あたし、むずかしいことをやりたいんだもん」!!! そんな7歳半のラモーナは、まわりの言動から(だれも、あたしのこと、すきじゃないんだ)と思ってしまったり、あれこれ気がかりがあったり、かとおもうと、うれしくてはちきれそうだったり、こうしたらきっとおもしろいとわくわくしたり、実際にやってみたり(それで失敗したり)。気持ちがふくらんだりしぼんだりするのが少々激しいのは、ラモーナの想像力がゆたかだということか。 とくにおもしろかったのは「一大髪の毛論争」。思春期にはいった姉のビーザスが、髪の毛を家で切ってもらうんじゃなくて、美容師さんに切ってもらいたいと言いだして、クラスでこんなのあたしだけ、そんなことないでしょう、そのもじゃもじゃ頭はどうするのと、ビーザスとおかあさんが言いあう。 ビーザスは、いい子ちゃんでいるのにあきあきしたと言う。「あたし、もうききわけのいい、おりこうさんでいるのにあきあきしたの。」「ラモーナは、なんだってすきなようにするのに、あたしはそうじゃない。何一つしたいようにしたことないんだもの。ビーザスは、いつもいつもききわけのよい、いい子でいなきゃならないのよ。」(p.146) これにはラモーナもだまっていられない。「そんなことないよ!」「あたし、なんだってすきなようにしたことなんか、いっぺんもないもん。」(p.146) しばらくの沈黙のあとに、口を開いたのはおかあさん。「そうねえ、おかあさんも、いいおかあさんでいるのにあきあきしたわ。いつもものわかりがよくて、やさしくて。「たまには、おかあさんも、何かばかなことをしてみたいわ。」(p.147) 二人の娘はぎょっとして、びっくりして、「たとえばどんな?」とおかあさんに訊く。表紙のイラストは、おかあさんがたまにはしてみたいという「ばかなこと」なのだ。 ▼「お日さまの照っているところで、クッションの上にすわって、タンポポの綿毛をフッてふきとばしたりってことかしらね。」(pp.147-148) ラモーナは、自分もおかあさんと一緒にクッションにすわって、タンポポの種をふきとばしたいと思った。ふわふわした綿毛を青い空にふきとばすことができたら!おかあさんにすりよって、からだをもたせかけたら、おかあさんはラモーナをぎゅっとしてくれた。 ビーザスが口をはさんで、現実にひきもどす。タンポポをふいちゃいけない、種がとんで芝生におちたら、タンポポは根が深いから抜けない、おかあさんはいつもそう言ってたじゃないと。 「ええ、わかってるわ」「おかあさんは、そんなばかなことはしないってことよね。」おかあさんがそう言って、ビーザスとおかあさんは冷戦状態に入る。ラモーナは、最初はほんの少しだけ、おかあさんがビーザスに腹を立てているのが、うれしいと思っていた。でもすぐに、だれかの髪の毛のことで、家の中ががたがたするなんて、すこしもうれしくないと思った。 おとうさんが失業してからフルタイムで働くようになったお母さんは、仕事は好きで楽しいけれどお疲れ気味でもあって、そこに子どもたちがびーびー言うし、言うことをきかないしで、「いいおかあさん」をちょっと降りてみたくなったんだろう。 でも、いくら威勢のいいことを言って、こうするんだ!とがんばってみても、子どもは思いがけない結果にしょんぼりしてしまったり(お小遣いを貯めて美容専門学校の学生に髪を切ってもらったビーザスもそう)、自分の思い込みにしばられてどうにも動けなくなってしまったりする。 ラモーナが中心の話ではあるけど、おとうさんやおかあさんの側からも読めて、かならずしも完全ではない親の姿やその事情も垣間見えて、そこがこのシリーズのおもしろいところだと思う。 (6/16了)

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2013/03/26

こどもの頃、どうして大人は私が一人前にものを考えていることに気づかないんだろう?と不思議に思っていた。 本棚で眠っていたこの本を手にとって、読みふけった、ああ、今の私は昔自分で腹を立てた子どもだったことを忘れてしまった大人じゃないか、とぼんやりおもった。 どうも人間は自分以外...

こどもの頃、どうして大人は私が一人前にものを考えていることに気づかないんだろう?と不思議に思っていた。 本棚で眠っていたこの本を手にとって、読みふけった、ああ、今の私は昔自分で腹を立てた子どもだったことを忘れてしまった大人じゃないか、とぼんやりおもった。 どうも人間は自分以外の人間をけいしするけいこうがあるけれど、その軽視の対象が子どもになると突然「当然軽視されるべきだ」ってなるのが不可思議。 わたしがこどもの頃、何が怖かった?何が楽しかった?どんなふうに気を遣っていた?何が悲しくて泣いていた?そういうものを今の子どもに当てはめて、話を聞いてやらなきゃ。だってこの子はあの時話を聞いてもらえなくて泣くしかなかった私と同じだもの。 そういう目線を思い出すために、大きな働きをしてくれる本。

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2017/08/16

 子供と親のすれ違い。兄弟姉妹のすれ違い。それぞれの気持ち。  きらいなんかじゃないけれど、なんでうまう伝わらないのか。  子供向けに書かれているようで、自分の心の奥底を見直す機会にもなりそうです。  全体にシリアス過ぎない。暗過ぎない。明るいユーモアとポジティブな展開にほっと...

 子供と親のすれ違い。兄弟姉妹のすれ違い。それぞれの気持ち。  きらいなんかじゃないけれど、なんでうまう伝わらないのか。  子供向けに書かれているようで、自分の心の奥底を見直す機会にもなりそうです。  全体にシリアス過ぎない。暗過ぎない。明るいユーモアとポジティブな展開にほっとします。

Posted byブクログ