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ひとりより孤独 の商品レビュー

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2016/07/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

この小説を読んで思い浮かんだのは「イクメン」という言葉でした。恐らくですが、この作品が出た頃はまだ、この言葉がそこまで一般的ではなかったと思われます。 主人公のマリアンは二年前に劇的な恋愛結婚をして、社長夫人として幸せに暮らしていました。しかし、若くして大学進学の夢を諦め家庭に入った彼女は、一度は諦めた夢をもう一度追い求めたい、叶えたいという強い希望があります。 しかし、夫のジークは妻の気持ちを理解するどころか、マリアンがその話を持ち出すと話をそらしてしまいます。 ―私は夫の作った綺麗な鳥籠に閉じ込められて、彼の帰りを待つだけの存在にはなりくたない。 その想いが高じ、ついに彼女は家を出てしまいました。 ―僕はどんなことがあっても君とは別れない。 執拗に追ってくる夫、ですが、実はマリアンも夫を愛しています。 ―愛しているからこそ、本当の私を見て欲しい、理解して欲しい。 自分は綺麗なだけの人形ではないとジークに訴えるヒロイン。 実はジークは幼くして孤児院に預けられ、各家庭を転々として過去を持ち、そのために自分を他人にさらけ出すことができず、また逆に他人を全面的に信用すこともできなくなっていました。 そのために、妻を家庭に閉じ込めて自分を裏切らせないようにしていたのです。 夫の真実を理解したマリアンは ―私はけして、あなたを裏切らない。 ジークに告げるのですが、、、 この物語りはハーレクインによくあるように、「愛を失いかけた夫婦の再生の物語り」であるといえます。最初の「イクメン」については、きっとこの作品を最後まで読み通したら、お判りいただけることと思います。ハラハラしながらも、ホロリとさせられる良い作品でした。

Posted byブクログ