アフガニスタンの風 の商品レビュー
ソ連によるアフガニスタン侵攻(1978-89)を、著者ドリス自身が実際に現地に行って見聞きした経験をもとに、彼女の言葉で語られる。 ソ連によって大量に殺されたアフガン人、ソ連に拷問され、抵抗運動の関係者を吐くよう肉体的苦痛を課せられた人たち。ドリスの語りを通じてアフガン人の勇敢...
ソ連によるアフガニスタン侵攻(1978-89)を、著者ドリス自身が実際に現地に行って見聞きした経験をもとに、彼女の言葉で語られる。 ソ連によって大量に殺されたアフガン人、ソ連に拷問され、抵抗運動の関係者を吐くよう肉体的苦痛を課せられた人たち。ドリスの語りを通じてアフガン人の勇敢さ、美しさが伝わってくる。 一方で、今ここでも私が「大量に殺された」と表現したのと同様に、我々は戦争の想像を絶する死者数のせいで感覚がおかしくなってしまっている。 つまり、ある新聞では「およそ数十万人の死者数と推定され〜」と表現し、あるテレビ番組では「専門家によると200万人の死者数と推定され〜」と非常に規模の大きい誤差が生じているにも関わらず我々は疑問に思わない。本当なら、人が亡くなっているのに、1人か2人か間違えるべきではないし、100万人の死者と200万人の死者では雲泥の差であるはずなのに、堂々とこれらの数を単に「大量」と一単語で簡単に表現してしまっている。 ドリスが2007年、ノーベル文学賞を受賞できたのは、女性目線による力強さだけでなく、西アジアや南方アフリカにバックグラウンドを持つ彼女の広い視野によるものなのだろうと感じた。
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レッシングと似たような問題を共有しているので、身につまされながら読んだ。今後、イスラム世界、戦争、災難などをめぐる報道に触れるたび、この本のことを思い出すだろう。人間の偏見や無関心がどれほど根強く、恐ろしいかについても考えさせられた。
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読むのが遅すぎた本。わかっていた、報道という分野が視聴者の興味ある部分しか写さないことはわかっているつもりではいたのだが・・・。かのwikiでさえも表面をなぞる事柄しか書かれていなかったことに、驚いた。考える前に、「読むのが遅すぎた」と感じた本です。 けど、年配の人は結構この...
読むのが遅すぎた本。わかっていた、報道という分野が視聴者の興味ある部分しか写さないことはわかっているつもりではいたのだが・・・。かのwikiでさえも表面をなぞる事柄しか書かれていなかったことに、驚いた。考える前に、「読むのが遅すぎた」と感じた本です。 けど、年配の人は結構この本に書かれている事柄は当時においては周知のごとくらしく・・・僕は情報社会に踊らされている若者なのだと再認識したおっさんです。
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