ドイツ啓蒙主義の巨人 の商品レビュー

戸叶勝也(著者)

2013/12/23

日本ではさほど注目を受けてこなかった、ベルリン啓蒙主義者の大物であるフリードリヒ・ニコライの総合的研究である。ニコライの多彩な文筆活動と書店主としての活動を、ドイツ啓蒙主義の実用性志向との関連において総合的に把握し、ニコライをドイツ社会において近代的市民として活動した人物として描き出している。ニコライが行った数々の論争については、さらに立ち入った分析があってもよいように思われる部分もあるが、ニコライの志向の軸は明確に特徴づけられている。