鳴るは風鈴 の商品レビュー
もの悲しさが漂う生活…
もの悲しさが漂う生活の記録ながら、淡々としていてほのかなユーモアが感じられます。
文庫OFF
人生の悲哀や少々エロ…
人生の悲哀や少々エロティックな事柄も、飄々とした文体であけすけに書かれている。こうあけすけに書かれると、本人はともかく、文中頻繁に登場させられる奥さんが非常に困ったのではないか?と心配になる。非常に読みやすく、読了後、さらに著者の他の作品も読みたくなった。
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タイトルからして、なんて風流で涼やかな、と思いつつ手にしたものの、風鈴が鳴る理由に意表を突かれました(笑)この外し方が木山捷平節なのではないでしょうか。そんな感じの、タイトルどおりユーモラスな短編を集めた一冊でした。 「耳かき抄」「逢引き」「下駄の腰掛け」あたりは電車で読みながら...
タイトルからして、なんて風流で涼やかな、と思いつつ手にしたものの、風鈴が鳴る理由に意表を突かれました(笑)この外し方が木山捷平節なのではないでしょうか。そんな感じの、タイトルどおりユーモラスな短編を集めた一冊でした。 「耳かき抄」「逢引き」「下駄の腰掛け」あたりは電車で読みながらニヤついてしまいます。(木山さんの頭の中で発想連携はどう繋がっているのだろう…と思わずには居られない)「柚子」はお気に入り。旅先で出会う女性とのなんやかやの話ではあるのですが、一般的に期待されるような展開にならずに済むのが良いです。そしてふんわりとした気持ちにさせられると云う…。
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解説に「・・テーマがない。・・木山捷平にとって表現行為そのものが文学なのだ」とあるが、その通りの一冊。
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先に詩集を読んだ際、そのあまりにダイレクトな表現に驚かされ、カルト作家としての印象を大いに植え付けられたのだけど、この短編は普通なまで普通。 比較対象が漫画家になるのだがつげ義春的だと思った。 クリエーターの日常を山も谷もオチもなく淡々と描いている。 そういう空気感が一部に...
先に詩集を読んだ際、そのあまりにダイレクトな表現に驚かされ、カルト作家としての印象を大いに植え付けられたのだけど、この短編は普通なまで普通。 比較対象が漫画家になるのだがつげ義春的だと思った。 クリエーターの日常を山も谷もオチもなく淡々と描いている。 そういう空気感が一部にマニアを生んでいるのだと感じた。 文壇のサブカルレーベル(勝手に命名)である講談社文芸文庫に収められるのも納得。 解説でも触れられていたのだけど、とにかく「ゆるい」。 「ゆるい」なんて解説される作家は珍しいと思う。 この選集は私小説だけで構成されているのだが、どうも私小説というのは陰気になりがち。 だけどこの人はのんびりしているんだ。 貧乏で切羽詰まっているはずなのに。 書くこともないのか同じ話を使いまわしてる感もあって、そこがまた生みの苦しみのようなこともなく。 なぜか微笑ましく追いたくなる、そんなゆるさ。 ただ講談社文芸文庫でも品切れ状態で、なかなか多くを読める作家ではなくなっている模様。 このままカルト作家として消えるかもしれないのは惜しい。
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