「顧客」としての高齢者ケア の商品レビュー
この本で扱われている「高齢者」は寝たきりや痴呆、そこまではいかなくても相当弱った高齢者です。我々がこれから対象にしようとしている高齢者はもう少し元気だと思うので、ちょっとズレてるかな、とも思います。しかし、何にせよ、高齢者の方は我々若者とは違う価値観を持っているわけで、我々には...
この本で扱われている「高齢者」は寝たきりや痴呆、そこまではいかなくても相当弱った高齢者です。我々がこれから対象にしようとしている高齢者はもう少し元気だと思うので、ちょっとズレてるかな、とも思います。しかし、何にせよ、高齢者の方は我々若者とは違う価値観を持っているわけで、我々には想像もできないようなことを考えているかもしれないので、本を読むなり何なりでしっかりとその辺りも考えて置かないといけません。 この本における大きな主張は「世間では弱い高齢者は死にたがっていると考えられているが、殆どの高齢者は最後まで生きたいと思っている」ということです。例えば「尊厳死」という言葉がありますが、寝たきりや痴呆が尊厳のない状態のような観念が刷り込まれることを横内氏は指摘しています。「ああまでして生きたくないな」などの冷たい言葉が「尊厳の無い状態」を作る、とも。 他に印象に残ったことは「高齢者の言うことを鵜呑みにするな」ということです。「死にたい」というのは「もっと良く生きたい」、食事を終えたのに「まだ食べてない。はやく出せ」は「もっと食べたい」が本音であることが多いらしいです。こっちのペースに合わせるのではなく、とことん高齢者の立場に立って考えるべきだと思います。ぼけて現実と違うことを言い出したらそれに合わせることも必要です。 横内氏は高齢者ケアに携わる医師で、この本は87もの事例(ひとつひとつは短い)が紹介されています。似たような事例も多いし、文章は非常に読み易いので、パラ読みでもいいので読んでみることを勧めます。 法学部二年(になったばかり) O.S
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