明治の文学(第8巻) の商品レビュー
『義血侠血』、『外科室』、『通夜物語』、『白鷺』、「かきぬき」より「滝の白糸」 の5作収録。 ちょっと変わったラインナップ…と思ったら、共通点は「映画化された作品」との事。なるほどね。 解説で触れられていた、新派の演劇と泉鏡花作品の云々の話も興味深い。また、語り手の視点の即興的な...
『義血侠血』、『外科室』、『通夜物語』、『白鷺』、「かきぬき」より「滝の白糸」 の5作収録。 ちょっと変わったラインナップ…と思ったら、共通点は「映画化された作品」との事。なるほどね。 解説で触れられていた、新派の演劇と泉鏡花作品の云々の話も興味深い。また、語り手の視点の即興的なとりとめのなさとか、会話の極度の省略もしくは不自然なまでの冗長、結末だけが急降下に解決……等々、鏡花作品あるあるに触れていて、解説読んでて「うんそうそう!」と思うところしきり。なんだかとても「いびつ」と言いますか、物語の緩急の付け方の基準が全く読めず、作者がこの一文で何を描こうとしているのかをくみ取る読解力を求められてる事が多いんですよね(そこが持ち味なんでしょうが)。 この本のラインナップで時代順に収録されているので順番に読んでると、確かに『義血侠血』は紅葉の筆がかなり入ってるんだろうなぁと(たいへん普通に読みやすい…)。 巻末についてる、水上瀧太郎の随筆「はじめて泉鏡花先生に見ゆるの記」が、ファン視点で書かれてるのであっちこっち笑えて面白かった~。
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本当は岩波文庫のやつを借りました。「義血侠血」「外科室」「夜行巡査」を読むために。でも図書館のは50年前くらいのゴッツ古いやつで字もそのまんま旧字体だったので読みやすいやつを、と思って「義血侠血」はこれで読みました。新しい文体がまだ生み出される前の明治文学。泉鏡花はただ郷土の文豪...
本当は岩波文庫のやつを借りました。「義血侠血」「外科室」「夜行巡査」を読むために。でも図書館のは50年前くらいのゴッツ古いやつで字もそのまんま旧字体だったので読みやすいやつを、と思って「義血侠血」はこれで読みました。新しい文体がまだ生み出される前の明治文学。泉鏡花はただ郷土の文豪ってことくらいしか知らず「高野聖」くらいしか読んだことなくて文学史的な知識はあんまりないのだけれど、まだまだ戯作っぽい文体にどこか明治的なにおいを漂わす、社会と人間の心の軋轢……のようなものを感じました。「義血侠血」は思ったよりも面白かった。白糸の闇夜の殺人のシーンは結構リアルで怖かったー。
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