学校ミドルリーダー の商品レビュー
2001年6月5日初版第一刷発行ということですので、少し前の本と言うことができますが、なかなか読み応えのある一冊でした。後半は、総合的な学習の時間が始まるタイミングですので、教育課程の編成であるとか教育研究の推進といった、今となっては懐かしい話になってしまいますが、前半のミドル...
2001年6月5日初版第一刷発行ということですので、少し前の本と言うことができますが、なかなか読み応えのある一冊でした。後半は、総合的な学習の時間が始まるタイミングですので、教育課程の編成であるとか教育研究の推進といった、今となっては懐かしい話になってしまいますが、前半のミドルリーダー論は全く色あせることなく、今日でも十分通用する内容だと思いました。これからミドルリーダーになる人、あるいは、ミドルリーダーを育てようという人にはお勧めの1冊、もっといえば決定版と言っていい1冊だと思います。 衝撃的な一文に出会いました。p.18 “学校リーダーは、そこから、「大人の幼児性」との闘いに突入します。” よく「学校の常識は世間の非常識」と言われます。それが本当かどうかは断言しませんが、組織に馴染めない、あるいは馴染まない、もっと言えば組織からはみ出す人が多いのは事実だと思います。その理由が分かりました。この「大人の幼児性」です。よく言えば、子どもの心を持ち続けているとも言える、こういう教員が多いのは事実だと思います。 具体的に、幼児性の強い人の傾向を五つあげています。 1 白か黒かで物事の結論を出す 2 責任を他に転嫁する 3 事実と意見の区別ができない 4 原案をもたずに相談にくる 5 管理職を悪者にする いかがですか。何ともあるあるではないでしょうか。 逆に、リーダーに求められる資質にはどんなものがあるのでしょうか。 p.32 1 仕事を楽しめる人 2 大事に、線の引ける人 3 安定した判断ができる人 4 世論形成のできる人 5 引き分けのケンカができる人 6 肝心なときに叱れる人 7 人の話が聞ける人 自分はいくつ持っているか、ぜひ考えてみてください。ちなみに、私は4つがいいところですね。 ほかにも、p.25「学校リーダーに必要な三つの視点」や、p.41「学校リーダーの仕事の仕方」などなど、引用はしませんが、参考になる話が目白押しです。ぜひ、手に取って読んでみてください。私は、気になるページの角を目印に折っておくのですが、前半は毎ページのように折っていたので、何だか分からなくなってしまったほどです(笑)。 印象に残った言葉はたくさんありますが、2つだけ紹介します。 p.49 よい人脈をつくる秘訣は、「つきあうなら、忙しい人とつきあう」ことだといわれます。 (中略)この教えは、同時に、「自らも忙しい人であれ」という自己に対する戒めの教えでもあります。 なるほど。働き方改革の時代ですので、あまり大きい声では言えませんが、私も忙しい人でありたいと思います。 p.59 学校組織を束ねるリーダーの研修とは、言ってみれば、つまらないと思っていたことが実は大切であったり、大切であると思っていたことが実はつまらないことであったりすることに気づくプロセスです。 これは深いですね。要するに、教員とミドルリーダーでは、職が変わってしまうのかなとも思いました。それはそれで寂しい気がします。この本の教えに逆らって、私はいつまでも、この職に憧れていたあの頃の自分を見失わないようにしたいと思います。
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