道徳の哲学者たち の商品レビュー
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功利主義やカントなどの理論の問題点を挙げるだけでなく、その改善策のようなものを提示していくノーマンの書きぶりに好印象を抱いた。 全章が興味深い内容だったが、特に「第三部 現代の課題」以降で述べられている内容には感動した。 ノーマンが支持するのは、ヘーゲル的立ち位置から導き出される多元主義である。そこにデイヴィッド・マクノートンの道徳的観察(moral observation)や道徳的ビジョン(moral vision)といった視覚的道徳の概念と、ロバート・ノージックの有意さや有意義さ(meaningfulness)によるSeinとSollenの超克をあわせて考えてみるとおもしろい。なにかそこに、西田幾多郎や西谷啓治の考えていた道徳倫理学が重なってくる気がしている。見るものと働くものの一致・・・ 本書を読んで、近代科学的思考を基礎に持つ現代の道徳倫理学のその先のステージを覗き見た感じがした。リーマン的に言えば、プラトン、アリストテレスといった古代哲学者たちとその後の哲学者たちの弁証法的止揚から創造された道徳倫理がある。 自分の修士論文に関わること間違いなし、再読必然。
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今日本で入手できる倫理学の入門書ではいちばん専門的でちゃんとしているのではなろうか。 ただし値段が高いのが難点。テキストには使いにくい。
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