黒の過程 の商品レビュー
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ある人のお気に入りだったので、興味を持って、いずれ読もうと思っていた本。 内省的、重くて暗い、という噂だったので、ある程度時間のある時に手に取った。 字も細かいうえ、なかなかの厚み。 確かにこれは今の自分の年齢でないと読めないかも、と思った。 舞台は16世紀のヨーロッパ中部。フランドル、フランス、イタリア、北欧など。 架空の人物、ゼノン(錬金術師、医師、科学者)の伝記、かなあ。 前半はゼノンの周囲の人々の細かい年代期だったので、横溝正史みたいなかんじで、家系図つけてくれよ、と思いつつ読んだが、中盤以降はゼノンの内省やら時代の流れの呟きだらけになった。 神学や歴史の細かな話がびっちり続く。 マクシミリアンの早い退場にびっくり。 もっと活躍して欲しかったよ。 作者の博識と、積み重なる重厚な歴史にくらくらした。 オリジナルの1990年訳出の白水社版(白い表紙に小さく黒い石)を読んでいたが、巻末の作者のあとがきも読み応えがある。 綿密に調べて書いているんだなと当たり前のことに驚く。 作者のライフワークにも近い、これを含む代表作の長編3遍への思い入れが感じられた。 とても作者が長年アメリカに住むことになった状態の人とは思えなかった。 資料集めは大変じゃなかったの。 訳者のあとがきも興味深い。 作者がゼノンを生涯の推しのようにしていた様子に「戦慄」した、とあった笑。 先にこの訳者のあとがきを読んだり、ネットの評判をチラ見して※、読んでる最中にラストの展開を知ってしまい、かなり後悔した。 ※大変な危険な行為です。ご自身で行う際には、専門家の助言のもと、適切に判断してください。 自意識過剰、かつ、モテ男だけど同性愛者で、手先が器用な俺様キャラのゼノン、かわいいです。 拷問も処刑もキリスト教も近代化に揺れる16世紀ヨーロッパも、ゼノンじゃなくとも、やっぱりコワイヨナー、と思いました。 妹と一度だけ会ったときのゼノンって、あのペスト医者の鳥マスク被ってたのかな。 想像するとかわいいね。
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コミュニティ「ゆるい読書会」の流れで手にしたユルスナールですが、いやあ面白かったというか、堪能しました。 日頃通勤電車で読み飛ばししているもんで、 じっくり半月向き合える本はなかなか貴重です。 私は白水社のユルスナールセレクション第2巻で読みました。これ、翻訳はもとより解説やら筆者覚書やらが充実していてそれも良かった。 ゼノンという架空の哲学者兼医師兼科学者兼・・・ ルネサンス期におなじみのダヴィンチの如き超人の話。 こんな何でもできても、所詮タツキの手段になるのは 医業しかないのね・・・・ というのが感想では、あまりに卑近過ぎるか、自分!?
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ゼノンは周囲から異端視され、周囲の無知を拒絶し、炎のような情熱を内に秘めているのにも関わらず、最後は求め続けた深淵に触れることができず絶望の内に燃え尽きる。錬金術師というよりは、異端な面もあるが名もなき一介の医者といった方がしっくり馴染むと思う。『目を見開いて』での、ユルスナールの「ゼノンは存在していました。今も存在し続けています・・・」という言葉に集約されるように、読み終わってなお、彼の心臓の鼓動のようなものが聞こえるような気がするそんな作品。最も好きな小説。
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読んでみて難しかったけどおもしろかった。 ルネッサンスの時代だけど、宗教とか人間の一生とか抗いようのない運命で進んでいく。 作家が精魂こめて書いたのだと思った。
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