白樺の手紙を送りました の商品レビュー
中世の大商業都市ノブゴロドで文字を書く紙として使われた白樺文書発掘とそこから分かる政治や経済、社会の仕組みなどを紹介した本を抄訳したもの。さまざまな階層の人が白樺に遺書やちょっとした頼み事、不公正な裁判、売買契約も含む手紙や文書を日常的に記録していて、子供が文章の練習をしたり落書...
中世の大商業都市ノブゴロドで文字を書く紙として使われた白樺文書発掘とそこから分かる政治や経済、社会の仕組みなどを紹介した本を抄訳したもの。さまざまな階層の人が白樺に遺書やちょっとした頼み事、不公正な裁判、売買契約も含む手紙や文書を日常的に記録していて、子供が文章の練習をしたり落書きしたりもしている。白樺文書が発掘される前は、当時は識字率が低かったと考えられていたようだが、これにより実は広い範囲で人々が読み書きができていたことがわかったという。もっと大きいところでは、中世ノブゴロドの方言がスラヴ言語と違うシステムをもっていたというところからもノブゴロドの祖先が西方、おそらくポーランドの諸地方起源であり、それはロシアの歴史学と言語学における「東スラヴ人は完全に一体的な存在であるという、現在もなお支配的な考え方」とは違う、「中世ロシア国家がこれまで考えられてきたよりは複雑な存在で、相異なる二つのスラヴ的伝統(専制的な王政と貴族支配)が統合し相互補完することで成立した」ということが分かる発見でもあった。
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