眺めのいい部屋 の商品レビュー
上流の生活を維持する…
上流の生活を維持することはたいへんだったのね、としみじみとした気持ちにさせられます。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「この熱意。この無私無欲。シャーロットの人生はずっとこうだった。」「もし淑女たるものが自ら事に当たれば、まわりの人に眉を顰められ、それから軽蔑され、最後は無視されるのです」「僕はたぶん生きたいのだと思う」「女に決めさせないのだ。ヨーロッパを千年もの間このままにしておいたのはセシルのような人間だ。彼は一時も休まずに君を作り上げ、どんなことが魅力的で、楽しくて、淑女らしいかを君に教えている。そして君は、君たち女の人は、自分の声に耳を貸さずに彼の声に聞き入るんだ。」「婚約してからはじめて彼はルーシーを見た。ルーシー越しに何かを見たのではなく。ルーシーはダ・ヴィンチの女から現実の女に変わっていた。」 「眺めのいい部屋を断った時のことを憶えているかな?あれが自分を見失ったということなのだ。些細なことだ」「人生はとても美しいものだが、とても難しいものでもある」
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翻訳に問題があるような気がして、ずいぶんと読むのに手間取ってしまった。ストーリー自体は面白かったが、「天使も〜」に比べてややプロットのダイナミズムに欠ける気もする。誰のセリフか分かりづらいのがキツかったな。
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ヴィクトリア朝が終わってもなお、 自らの階級やしきたりに縛られ、自分が好きな人を正面から素直に愛することのできない時代は、 女性にとって辛いことも多かっただろうなと思いました。 「肉体に対する軽蔑がなくなったとき、僚友となった男女はエデンの園にいけるのだ」 というエマーソン...
ヴィクトリア朝が終わってもなお、 自らの階級やしきたりに縛られ、自分が好きな人を正面から素直に愛することのできない時代は、 女性にとって辛いことも多かっただろうなと思いました。 「肉体に対する軽蔑がなくなったとき、僚友となった男女はエデンの園にいけるのだ」 というエマーソン氏のセリフは、はじめは意味がよく分からなかったのですが、全文読み終わった今、 このセリフこそが本書の主題なんだなと感じることができました。 原作が古いので、翻訳で全ての意味を汲み取るのは少し難しいですが、原作と照らし合わせて読むと理解も深まるとおもいます。
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階級が描かれ、紳士淑女のたしなみが描かれるところが、英国の小説だと思わせられる。 語り部がいて、事件が時系列に描かれるところが、古典的だと思わされる。 英国的な古典という立ち位置で、約束事を守りながらきめ細かく丁寧に言葉を積み上げると「眺めのいい部屋」のような小説が建築される...
階級が描かれ、紳士淑女のたしなみが描かれるところが、英国の小説だと思わせられる。 語り部がいて、事件が時系列に描かれるところが、古典的だと思わされる。 英国的な古典という立ち位置で、約束事を守りながらきめ細かく丁寧に言葉を積み上げると「眺めのいい部屋」のような小説が建築されるのだろう。 解説で紹介される、著者自身が語る後日談「部屋のない眺め」がお得でよい。
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ハワーズエンドを読んでからフォースターの作品は気になっていたが、読むまで時間が空いてしまった。 実際読んでみると、中世貴族の形而上的禁欲主義vs現代の労働者階級の実存主義(肉体での経験を称揚する考え方)という共通点があるように感じた。 肉体での愛を褒め称えている点ではある意味ロレ...
ハワーズエンドを読んでからフォースターの作品は気になっていたが、読むまで時間が空いてしまった。 実際読んでみると、中世貴族の形而上的禁欲主義vs現代の労働者階級の実存主義(肉体での経験を称揚する考え方)という共通点があるように感じた。 肉体での愛を褒め称えている点ではある意味ロレンスのチャタレイ夫人の恋人も彷彿とさせられて比較して再読したく思った。
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イタリアのフィレンツェに、従姉のシャーロットと旅行に来たルーシー。彼女は旅行先の宿で親切だが紳士らしくないエマースン氏と、その息子ジョージと出会う。自分の気持ちを隠そうともしないジョージに、ルーシーは反発しつつも気になっていく。 品位のある女性なら、女性らしくたおやかに振る舞う...
イタリアのフィレンツェに、従姉のシャーロットと旅行に来たルーシー。彼女は旅行先の宿で親切だが紳士らしくないエマースン氏と、その息子ジョージと出会う。自分の気持ちを隠そうともしないジョージに、ルーシーは反発しつつも気になっていく。 品位のある女性なら、女性らしくたおやかに振る舞うことが当たり前な時代で、守られる女性を演じる。なんて生きづらい時代だろうと思いました。 詩的な文章で書かれているので、人物の会話の意味を理解するのに、何度も読み返す必要がありました。その難しさに、また再読したいと思いました。
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イギリスの片田舎の娘が年とった従姉妹とイタリアに旅行し、ホテルで口さがない宿泊客たちと交際するはめになる。交際に疲れた娘は一人街にくりだすが、偶然、殺人事件に出くわし、その場にいた一人の男に助けられる。男は同じホテルで他の客たちに疎まれていた卑しい生まれの青年だった・・・云々。ヴ...
イギリスの片田舎の娘が年とった従姉妹とイタリアに旅行し、ホテルで口さがない宿泊客たちと交際するはめになる。交際に疲れた娘は一人街にくりだすが、偶然、殺人事件に出くわし、その場にいた一人の男に助けられる。男は同じホテルで他の客たちに疎まれていた卑しい生まれの青年だった・・・云々。ヴィクトリア朝式の保守的な家に生まれた女が、結婚と恋愛をつうじて、周囲の人々の間違いに気づき、やがて自分の本心を知るにいたるというジェイン・オースティン的なテーマ。でもオースティンよりずっとバロックで、登場人物も決して「類型」にはまってない。フェミや同性愛のテイストもそこここに見られて、思わずにんまりしてしまう。タイトルに見合う不思議な魅力をたたえた傑作。
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『人生とは、聴衆の前でヴァイオリンを弾くようなものだ。そして君は弾きながらヴァイオリンのことを学ばなくてはならない』 人は生活をしながら、自分のもっている力の使い方を見つけなければならない、とくに愛の使い方を 封建的な風潮が強い時代においては、恋愛をするのもとても大変だったんだ...
『人生とは、聴衆の前でヴァイオリンを弾くようなものだ。そして君は弾きながらヴァイオリンのことを学ばなくてはならない』 人は生活をしながら、自分のもっている力の使い方を見つけなければならない、とくに愛の使い方を 封建的な風潮が強い時代においては、恋愛をするのもとても大変だったんだなあ。その中で、エマースンさんが息子に教えてきたことや、言動は、とても説得力があって共感できる。
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イギリスとイタリアを舞台にした令嬢ルーシーの恋愛物語。知性と情熱どちらを選ぶのか、どのような人生の選択をするのか見所。
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