1,800円以上の注文で送料無料

反物質はいかに発見されたか の商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2001年刊。ポール・ディラックはアインシュタイン、マクスウェル、ラザフォード等と並び称される大物理学者で、量子論と相対論との統合を目指しつつ、反物質の存在を予言提唱した者として知られる。本書は複数の科学史家による彼の人物及び業績の評伝。数学的美を希求しつつ(「方程式が美しくなるという観点から仕事をし、…健全な眼識を持つならば、…進歩の線上にある。…実験と完全な一致を見ることがなくても、過度に落ち込んではならない」)、他方、物理的な着眼点は必ずしも精確な数学に依拠しないという絶妙のバランスが素晴らしい。 とはいえ、本書の内容はかなり専門的。元々、このシリーズはページ数は多くないが、密度の濃いワンテーマブックとして知られる書。反物質に関するとはいえ、宇宙論・素粒子物理学にも関わるのみならず、医学の測定検査器具にも応用される反物質論はなかなかに手ごわい。せめて場の量子論、色(カラー)力学、空孔理論、量子電気力学、電弱理論、CPT定理などを確認してから再度チャレンジしたい。

Posted byブクログ

2014/03/05

2014年3月5日読了。真空を「虚数に満ちた空間」と定義し物理学界に衝撃を与えた「ディラックの海」の概念を提唱、陽電子の存在の証明から「反物質」の存在を予言したP.ディラックの業績についての、彼を知る多くの科学者たちによる講演の記録集。専門家でなくても理解できるようにかなりやさし...

2014年3月5日読了。真空を「虚数に満ちた空間」と定義し物理学界に衝撃を与えた「ディラックの海」の概念を提唱、陽電子の存在の証明から「反物質」の存在を予言したP.ディラックの業績についての、彼を知る多くの科学者たちによる講演の記録集。専門家でなくても理解できるようにかなりやさしい内容になっている、ことは分かるのだがそれでも理解するのは難しい・・・。物質に対して反物質があると仮定するほうが物理学は理解しやすい、ディラックという人は「美しい数式」を愛し、またある公式と「別物」と見なされていた他の公式を組み合わせ、そこに美しい数式を当てはめることで新規な発見を導くことができる天才だったようだ。学問的な話もそうだが、女性とダンスに行く話など、彼の実直な人柄がしのばれるエピソードもなかなかほほえましくてよい。

Posted byブクログ