日本・日本語・日本人 の商品レビュー
水村美苗『日本語が亡ぶとき』に続いて本書を読んだ。本書に登場するのは、国語学者・大野晋(1919-2008)、ジャーナリストであり評論家の森本哲郎(1925-2014)、言語学者・鈴木孝夫(1926-2021)の3人で、2000年に行われた対談が掲載されている。 既に知っているこ...
水村美苗『日本語が亡ぶとき』に続いて本書を読んだ。本書に登場するのは、国語学者・大野晋(1919-2008)、ジャーナリストであり評論家の森本哲郎(1925-2014)、言語学者・鈴木孝夫(1926-2021)の3人で、2000年に行われた対談が掲載されている。 既に知っていることも多かったので、『日本語が亡ぶとき』ほどの感動はなかった。もっと端的に言うと、得るものが少なかった。特に対談のところが良くない。書家の石川九楊が「日本人は縦に書き、横に話す」と言ったが、老人3人の水平的なおしゃべりには閉口した。 ただ一点、森本哲郎の「は」と「が」の見解が最大の収穫だった。大野晋は助詞「は」と「が」について、 ・「は」は既知 ・「が」は未知 と主張する。それに対して森本は、 ・「は」は説明 ・「が」は叙述 ではないかと主張する。これは注目に値する。 日本人は理屈・説明を求めない。状況を受け止め、ありのままを叙述する方を好む。主語とそれに付随する助詞「は」を落とすことで説明的になるのを避けるのだ。
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