重松日記 の商品レビュー
井伏鱒二の「黒い雨」のもとになった本である。2001年発行なので50年以上も印刷されなかった。そのいきさつは解説に書かれている。 実際の黒い雨については記載がなかったような気がする。文字で書いたものより原爆祈念館の写真等の方がリアルである。場所については具体的な地名や建物の名前...
井伏鱒二の「黒い雨」のもとになった本である。2001年発行なので50年以上も印刷されなかった。そのいきさつは解説に書かれている。 実際の黒い雨については記載がなかったような気がする。文字で書いたものより原爆祈念館の写真等の方がリアルである。場所については具体的な地名や建物の名前が出てくるのでリアルである。
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この本には虚飾はない。誇張はない。余計なプロパガンダもない。 あるのは目をそらしてはならない現実だけ。 そして私たちに必要なのは、その意義をくみ取る力と、それを未来に引き継ぐ意志。 『…先に立って数歩先を見ると、年若い婦人が、道に横たわって死んでいる。死体のワンピースの胸を開き...
この本には虚飾はない。誇張はない。余計なプロパガンダもない。 あるのは目をそらしてはならない現実だけ。 そして私たちに必要なのは、その意義をくみ取る力と、それを未来に引き継ぐ意志。 『…先に立って数歩先を見ると、年若い婦人が、道に横たわって死んでいる。死体のワンピースの胸を開き、三歳位の女児が、乳房をいじっている。三人が近寄ると、両乳房をしっかりと握り、ジイッと見つめている。生と死の区別がつかないのだ。何かでドッと、胸を突きまくられた様で歩けない。そこに立ちすくんだ。涙がとめどなく流れる。どうしてやる術もない。自分の体一つですら、やっと自由にしている今だ。』 私たちが知るべき真実は耳障りのいい言葉にあるのではなく、後の世に伝えようと懸命に残してくれた、手触りを感じられる素人の肉声にあると痛感しました。 (2007/8/6)
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井伏鱒二の小説“黒い雨”の元資料となった重松氏の「火焔の日」「被爆の記」「続・被爆の記」の3つの手記と、医師である岩竹氏の「広島被爆軍医予備員の記録」、それに小説“黒い雨”が創られていく間に交わされた重松氏と井伏氏のやりとりが分かる「重松氏宛の井伏氏書簡」からなる。本書の著者名は...
井伏鱒二の小説“黒い雨”の元資料となった重松氏の「火焔の日」「被爆の記」「続・被爆の記」の3つの手記と、医師である岩竹氏の「広島被爆軍医予備員の記録」、それに小説“黒い雨”が創られていく間に交わされた重松氏と井伏氏のやりとりが分かる「重松氏宛の井伏氏書簡」からなる。本書の著者名は重松静馬となっているが、元資料を集め取捨選択し解説も書いている相馬正一氏の編集作品と言った方が良いだろう。いずれにせよ“黒い雨”が優れた創作物であること、記録や手記を残した人々の伝えたいという想い、そして何よりも戦争や核兵器の使用は絶対にしてはならないという叫びが強く伝わってくる。
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