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戦時下朝鮮の民衆と徴兵 の商品レビュー

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2009/10/07

38年の朝鮮陸軍特別志願兵令(志願兵制度)と、44年からの徴兵制度について、その発生と経緯を調べた本。徴兵制の導入は、戸籍を整備したり(無籍者が多数存在)、日本語教育(日本語理解度が42年で全朝鮮人男女のうち約19%・徴兵制の導入にともない、官公庁学校などでは日本語の常用が強制さ...

38年の朝鮮陸軍特別志願兵令(志願兵制度)と、44年からの徴兵制度について、その発生と経緯を調べた本。徴兵制の導入は、戸籍を整備したり(無籍者が多数存在)、日本語教育(日本語理解度が42年で全朝鮮人男女のうち約19%・徴兵制の導入にともない、官公庁学校などでは日本語の常用が強制されることになった)・皇民化教育を特別に行わなければならなく、また参政権問題をどうするのかということも懸案となり、なかなか実現されなかったらしいが、いよいよ戦線が南方に拡大し兵力不足が深刻化した(少なくとも)41年ころから東条英機が研究をはじめたという。44年4月から実施の徴兵検査には公式の発表によると、徴兵忌避者は1%に過ぎなかった。検査に通った人には9月ころから召集令状が届きはじめ、徴兵者には各部落連盟が挙げて送り出しを行ったため、逃亡や忌避をすれば部落全体の責任となった。正式な朝鮮人徴兵者数は確定されていないが、資料から著者が推定した数字は、徴兵者数36万8626人(志願兵含む)。また戦死者数もばらつきがあり、厚生省の公式統計だと2万2182人(ただし、これには玉砕地、輸送船の沈没、ソビエト軍の侵攻による犠牲などの数は含まれていないものと推測される)、韓国では5万884人とする資料もあるという。その他、徴兵検査で日本側と朝鮮人が言葉が通じないために起こった珍談や、徴兵制についての朝鮮人の受け止め方(心情)なども。一次資料に基づき誠実に調査している。

Posted byブクログ