嵐の夜(3) の商品レビュー
クーンツの短編集の第…
クーンツの短編集の第三分冊。クーンツの最高傑作短篇「黎明」が収録されている。
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5編の長短編が含まれた作品集。 順を追って感想を述べると、まず「ハードシェル」。これはクーンツお得意の異形物サスペンス。相変わらずグニャグニャした変化形のエイリアンが姿を現し、主人公を襲うという設定だが、今回はこの主人公も実は宇宙人だった(しかも敵よりもかなり優れた!!)という内容。読んでいる途中で解ったから驚きはなかったが、敵を倒す方法がアイデアとして優れている。 次に「子猫たち」。これは奇妙な味の短編とでも云おうか。正直、最後のオチはよう解りません。 「嵐の夜」はこれまたSF。しかしこれは設定が非常に優れている。ロボットが地球の最高知能生存者として生活する未来。二世紀を寿命として作られているため、非常に頑丈でスリルを味わうのを何よりも欲している。そんなロボット達が従来得ている能力を最小限のものとし、山中へ狩に出た際に遭遇する最強の獣“人間”。 しかしクーンツは最後までこの“人間”を今ある人間として描かない。だからこれは実は猿かもしれないし、実は宇宙人かもしれない。そんな得体の知れない物として描いたまま終わる。自分としてはこれがベスト。 作者お気に入りの「黎明」は実は各評論でも評価が高いもの。無神論に固執する父親が最愛の妻と息子を亡くす話。そういう過程を経て最後に神はいるという結論に達するのだが、そのあまりにも無神論を妄執するこの父親像がクーンツ作品らしくかなりしつこく、ねっとりした粘着感を備えている。 思っていたよりも後味がすっきりしなかったせいか、私としてはさほどいいとは思えなかった。 最後は長編『夜の終わりに』の改稿版「チェイス」。最初の事件の発端は読んでいて思い出したが、後の展開はほとんど忘却の彼方にあったので実はどう改稿されたのかが解らない。数ある初期作品の中でこの作品を改稿する物として選んだ動機は最後のあとがきに詳しいが、それを読んでも何故この作品を?という疑問は拭えなかった。 この1~3巻までの『ストレンジ・ハイウェイズ』シリーズはそのヴァラエティに富んだ内容からクーンツの作家の資質が全て凝縮されている、という意図で編まれた物だろうと思うが、私としてはどれも不完全燃焼といった感じ。 クーンツはやはり長編作家だと思うがどうだろうか?
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クーンツの傑作集として出た原本の3分冊の3冊目。 短編5(内1編は中編)を収録。著者が10代の頃に書いた処女作からベストセラー作家となってからの作品まで、様々な時代の作品が愉しめる。 気に入ったのは処女作「子猫たち」。何となく、サキの作品に似ているような「奇妙な味」とでも言うか...
クーンツの傑作集として出た原本の3分冊の3冊目。 短編5(内1編は中編)を収録。著者が10代の頃に書いた処女作からベストセラー作家となってからの作品まで、様々な時代の作品が愉しめる。 気に入ったのは処女作「子猫たち」。何となく、サキの作品に似ているような「奇妙な味」とでも言うか、そういうテイスト。
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短編集「ストレンジ・ハイウェイ」の翻訳の3冊目。(というか、翻訳の時に分冊したってことか)初期の作品もあって、ホラーよりSF色が強い。絶対ハッピーエンドで有名な(?)クーンツだけど、この時点はむしろブラック。でも、その奥にある視線の優しさ。苦悩や痛さをわかっているからこそ、ただ...
短編集「ストレンジ・ハイウェイ」の翻訳の3冊目。(というか、翻訳の時に分冊したってことか)初期の作品もあって、ホラーよりSF色が強い。絶対ハッピーエンドで有名な(?)クーンツだけど、この時点はむしろブラック。でも、その奥にある視線の優しさ。苦悩や痛さをわかっているからこそ、ただのハッピーエンドになってないクーンツを改めて認識する。「黎明」は、特に逸品。 最後の「本書の読者へ」というのが、また違った意味で面白かった。 皆、クーンツを読んでくれ!! でもって、某A社から版権を、まともな訳をするところに戻してくれ!
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