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丸山真男『日本の思想』精読 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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日本の思想。前半は難…

日本の思想。前半は難しく、後半はスッキリ読めて分かった気になってしまう。

文庫OFF

難解な『日本の思想』…

難解な『日本の思想』を読み解く副読本として。

文庫OFF

2024/07/09

宮村治雄 「 丸山真男 日本の思想 精読 」 テキスト逆読みの講義録 かなり読みにくく時間がかかった テキストの4つのエッセイに共通する「近代」の問題点、「知性」や「思想」による解決策を指摘している点は なるほどと思う 丸山真男の近代の問題に対する解決策のキーワードは、...

宮村治雄 「 丸山真男 日本の思想 精読 」 テキスト逆読みの講義録 かなり読みにくく時間がかかった テキストの4つのエッセイに共通する「近代」の問題点、「知性」や「思想」による解決策を指摘している点は なるほどと思う 丸山真男の近代の問題に対する解決策のキーワードは、横断的な社会的コミュニケーションと知の共同体的意識 「哲学者と文学者と社会科学者とが、それぞれの方法が違っていることを前提として、その基底にある知性の自由と普遍性を擁護する途をつくること」 戦後民主主義という視点から、知識人に何が足りなかったのか明示 *自由や民主主義といった近代の価値、近代の制度は〜ひとつの実体として存在しているものでなく、具体的な人間の行動によって存在している〜名前だけにすぎない」 *精神的貴族主義〜自分が自分であることをかけがえのない価値とみなす勇気であり、教養や文化の次元であえて「少数者」であることをおそれない内面的矜持 ★「である」ことと「する」こと テーマ 「である」「する」の要素がどのような重点均衡をもって存在し、両者の重点移動がどのような条件下でおこなわれるか 自由、民主主義といった近代の価値や近代の制度は〜ひとつの実体として存在しているものでなく、具体的な人間の行動によって存在している〜名前だけにすぎないもの 「自由は、置物のようにそこにあるのでなく、現実の行使によってだけ守られる〜日々自由になろうとすることによって、初めて自由でありうる」 「民主主義は、人民が本来制度の自己目的化(物神化)を警戒し、制度の現実の働き方を絶えず監視し批判する姿勢によって、はじめて生きたものとなる」 「である」 *出生、家柄、年齢、身分、帰属 *同類社会、縦の上下関係、異質な他者の排除 *制度は状態とみる 「する」 *目的のための関係、業績 *制度を過程とみる 日本近代の問題点 「する」価値と「である」価値との倒錯 *政治における「である」論理の強固な持続〜多数派の絶対化 *学芸や文化の領域での「する」論理の浸透〜文化の価値判断は 効用、合理性、多数決では決められない 近代に対する丸山の対処法 *政治の「する」論理の確立と文化の「である」論理の回復 *精神的貴族主義〜自分が自分であることをかけがえのない価値とみなす勇気であり、教養や文化の次元であえて「少数者」であることをおそれない内面的矜持(きょうじ) ★思想のあり方について 近代の問題点と対処法 *近代は「視圏拡大」の時代〜視圏が拡大するほど、ステレオタイプ化されたイメージにより世界を見る〜「閉じた社会」への回帰 *「閉じた社会」から「開かれた社会」への移行には、イメージの修正が必要〜横断的な社会的コミュニケーション、知の共同体的意識 日本の近代の問題点と対処法 *組織的な機能分化がタコツボ化として現れる *「ササラ型」社会〜近代の機能分化に先立って〜全体性や普遍性の意識を養成した伝統をもち、近代化の過程のなかで横断的なコミュニケーションを保持 ★近代日本の思想と文学 第一期(昭和3年〜9年) テーマ 政治、科学、文学という相異なるジャンルの相互関連 問題点 *文学に対する「政治の優位」 *政治における非合理的要素の切り捨て *日常的政治や政治過程の軽視 対処法 哲学者と文学者と社会科学者とが、それぞれの方法が違っていることを前提として、その基底にある知性の自由と普遍性を擁護する途 第二期(昭和12年以降) テーマ 国策と文学者の立場、政治の優位への批判   ★日本の思想 モチーフ C伝統を自ら形成するために、思想が蓄積され構造化されることを妨げるP伝統を問題視すること 近代の問題〜C伝統の形成を阻害したP伝統 *ヨーロッパ思想の無秩序な流入を天皇を精神的基軸とする方向において収拾した *近代国家建設は 西欧の制度の輸入として行われるため、天皇制国家の根本的な問題となった〜フィクションの自覚が失われている 第二の開国としての戦後を、開国の歴史的負荷である精神的雑居性の現出する極限状態として位置づけ 明治の天皇制国家は、近代日本の直面した開国状況への必死の対応であったが、近代に大きな負荷を強いた 開国の状況下で、C伝統を構築する代わりにI伝統(天皇)を引き出し、P伝統を増幅させた 伝統の意味 P伝統(パターンとしての伝統) 個人によって無自覚に反復され、経験的論証によって確認されるパターンを特質とする伝統 C伝統(価値的なコミットミントに媒介された伝統) *個人が自己の置かれた状況で自覚的に継承しようとする意志に媒介されている伝統 I伝統(土着的な文化としての伝統)

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2020/01/24

丸山真男の『日本の思想』(岩波新書)が提出している問題をていねいに掘り下げて解説している本です。 丸山は、思想が立場の相違を超えて共有財産として引き継がれることがない日本の思想状況を批判していました。彼はこうした日本的な思想史のパターンもまた「伝統」ということばで呼んでいますが...

丸山真男の『日本の思想』(岩波新書)が提出している問題をていねいに掘り下げて解説している本です。 丸山は、思想が立場の相違を超えて共有財産として引き継がれることがない日本の思想状況を批判していました。彼はこうした日本的な思想史のパターンもまた「伝統」ということばで呼んでいますが、著者はこうした伝統を「伝統P」と呼びます。他方、それぞれの個人が自覚的なコミットメントによって選択し継承された伝統は、「伝統C」と呼ばれています。さらに著者は、日本に土着の思想を「伝統I」と呼び、伝統Pと伝統Cの対立を、伝統Iと外来思想との対立にかさねあわせるような立場に丸山が立っていなかったと論じています。著者によれば、丸山の近代主義はいわゆる「欧化主義」として理解するべきではありません。 著者によれば、丸山が擁護した「近代」とは、ヨーロッパの土着思想ではありませんでした。彼は、キリスト教でさえヨーロッパの土着の思想ではないことを指摘しています。ヨーロッパは中近東が生んだキリスト教を取ってきて、みずからの「伝統」としたのであり、ここに「思想を伝統化する」精神のありようを認めることができると著者は指摘します。丸山が批判したのは、日本の思想史にそうした精神のありようが欠如しているということなのであり、日本の土着思想と対比される西洋の土着思想としての「近代」を取り入れべきだと主張していたのではないと著者は論じています。 なお本書では、丸山の「近代」理解と並んで、「開国」というテーマにも突っ込んだ考察がなされています。この問題は、丸山の「古層」をめぐる思想の評価にもかかわるため、『日本の思想』を精読することを目標に掲げている本書では十分に議論が掘り下げられていないのですが、丸山のめざしたおおまかな方向性についての示唆があたえられています。

Posted byブクログ

2017/01/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2001年刊行。戦後史を検討する上で不可欠の存在たる丸山真男。彼の代表的著作「日本の思想」を、背景事情も踏まえ解説する。基の本とともに紐解く必要を感じる一書。

Posted byブクログ

2009/10/07

丸山の『日本の思想』の解説本。 『日本の思想』自体が非常に分かりやすい本であるから必要ないかもしれないが、より考察を深めたいのであれば、良いかも。こちらも、講演を下に編集したものなので、丸山に負けず劣らず、非常に分かりやすい。

Posted byブクログ