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批評の事情 の商品レビュー

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2013/03/11

「不良」という言葉にまず目を引かれた。「非行少年」という言葉が使われだして以来、あまり使われることのない言葉だからだ。どことなくオールドスタイルな響きがある。それにしても、不良が批評なんか読むのだろうか。百歩譲って批評を好んで読む不良がいたとしても「論壇」なんかに興味をもつだろう...

「不良」という言葉にまず目を引かれた。「非行少年」という言葉が使われだして以来、あまり使われることのない言葉だからだ。どことなくオールドスタイルな響きがある。それにしても、不良が批評なんか読むのだろうか。百歩譲って批評を好んで読む不良がいたとしても「論壇」なんかに興味をもつだろうか。どんな批評について書いているのか、ちょっと読んでみたくなるではないか。 そう思って、この本を手にした人は裏切られる。『批評の事情』は、主に90年代にデビュー、もしくは騒がれた現代日本の若手評論家についての解説書である。その中には、鷲田清一や中島義道のように哲学者という肩書きを持つ人たちもいるように、純然たる評論家ばかりではない。もっとも、評論家という概念自体が曖昧きわまりないものだから、それは仕方がないとしても、問題は、どう考えてみても至極まっとうな人選で、不良らしいこだわりがまったくないことである。 全体を社会・時代・芸術・サブカルチャー・文芸の五つに分け、各ジャンルで活躍する評論家達を総勢44人取り上げている。いわば、批評家を批評するわけで、面白い試みだが、過去に別冊宝島がやった『現代思想・入門』の二番煎じの感は免れない。不良のためのというサブタイトルをわざわざ銘打つなら、それなりの切り口を用意したいところだ。ところが筆者は至って生真面目。宮台真司に対して、反感を感じていたと言いながら、初対面のカジュアルな服装でいっぺんに好感を持ってしまうといった単純さには「おいおい」とつっこみの一つも入れたくなる。 筆者は前書きでこう述べている。「それが評論であるためには、二つの条件を満たしていなければならない、と私は考えます。ひとつは批評性です。『それは何なのか』という問いを持続させつつ、対象を体系の中に位置づけ、それを検証していこうという意志です。その本質に迫ろうという意志です。もうひとつ欠かせないのは文章の芸です。評論もまた文芸のひとつなのですから、読んで面白くなくてはお話になりません。」 批評性についての定義は、あまりにパラノイア的で、筆者の人となりがよく出ている解釈だとは思うものの、そのままは受け取りがたい。文章の芸については、同感である。試みにその二点でこの本を批評するなら、第一の批評性という点では、対象を体系の中に位置づけるのに急で、筆者によって見出された他の評者にはない新しい解釈に乏しい。批評を読む喜びは、そこにあるだろうに。さらには、文章の芸という点だが、この文章には、それほどのものを感じられない。 むしろ、紹介されている評論家諸氏の言葉、文章の引用の方が面白かった。たとえば、斎藤美奈子の『もののけ姫』批判。「文化系の半端なインテリおじさんを喜ばせるアイテム(中尾佐助の針葉樹林文化論、佐々木高明の縄文文化論、網野善彦の日本中世民衆史など)」が、巧みに取り入れられていることが人気の秘密だと論破し、「おやじの妄想を大画面で見るおぞましさ」とまで言い切っている。気に入った人の本を探すためのガイドブックの役割は果たしてくれそうである。

Posted byブクログ

2012/06/03

著名の通りそれぞれの批評人の仕事についてはほとんど触れていないか、浅読みか、間違っているか、のいづれか。頭のいい人でないのは分かるが、不良でもない。ネット的な普通さ。

Posted byブクログ

2009/10/04

内容:論壇の人たちを軽い口調で批評する。 感想:そんなに面白くない。たぶん「文学賞〜」みたいなメッタ斬りのセンスは彼にないんじゃないかしら。あと出てくる人は半分も知らない。偏ってるのかわかんないけど、むしろ論壇の地図とか書いてほしい。

Posted byブクログ