青い夢の女 の商品レビュー

ジャン・ピエール・ガッテーニョ(著者),松本百合子(訳者)

2021/12/11

　精神分析医のミシェルが診療中うたた寝をしていて、目が覚めたときソファに寝ていた患者オルガは死体へと様子を変えていた。
　自分がやったのか…と焦るミシェル、警察からの疑いの目。
　いまや死体となったオルガは、窃盗の常習犯であった。夫マックスからも金を盗み、マックスはミシェルがその金を隠し持っていると信じて疑わない。
　兎にも角にも診療所に死体をずっと置いておけるわけがない。真冬の深夜、ミシェルは死体と共に墓地へと足を運ぶ。そしてなぜかそれを知っているミシェルの精神分析医ズリボヴィッチ。

オルガには警察を欺き、芸術のような腕前で物を盗む技術があったが、同時に狂犬のような女であり、夫マックスを切れさせ自分に暴力を振るわせてそれを楽しむマゾヒスティックな女だった。死体のオルガは一点を凝視し目を閉じていなかった。それは死んでからも存在感を示し続ける狂気の瞳だった。