すべての夢を終える夢 の商品レビュー
原題「どれくらいドイツ的か」。 戦後の経済復興にまい進するドイツを題材に、人々の(個人レベルから集団、社会レベルまでに及ぶ)光と影、傍目には素晴らしく見えるものが抱える翳を描く。 うっかり読み流すと、何てことはない、ドイツの上流家庭の人間の日々を描いただけのもののようである。...
原題「どれくらいドイツ的か」。 戦後の経済復興にまい進するドイツを題材に、人々の(個人レベルから集団、社会レベルまでに及ぶ)光と影、傍目には素晴らしく見えるものが抱える翳を描く。 うっかり読み流すと、何てことはない、ドイツの上流家庭の人間の日々を描いただけのもののようである。 しかし読んでいれば作品全体が持つ、危うさというか、醸し出される不安、不安定さが感じられる。 しれっとそういう空気を表現されているところが、この本の肝のように思う。 著者はあえて明確なメッセージを打ち出していない。ストーリーも劇的さはない。でも何だか訴えかけてくる力を持っている作品。
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