ミスター・ヴァーティゴ の商品レビュー
文章の「量」の置き方が面白い。少年が空に浮かべるようになるまでが無茶苦茶長くて浮かべなくなるまでが早い! 時の長さではなく、文章の長さ。そしてその後の人生の紆余曲折がちゃんとそれまで人生を踏襲する見事さ。何時間にも及ぶ酒場の馬鹿話のようでもある。けれど、そこにはリアリティの細かい...
文章の「量」の置き方が面白い。少年が空に浮かべるようになるまでが無茶苦茶長くて浮かべなくなるまでが早い! 時の長さではなく、文章の長さ。そしてその後の人生の紆余曲折がちゃんとそれまで人生を踏襲する見事さ。何時間にも及ぶ酒場の馬鹿話のようでもある。けれど、そこにはリアリティの細かい種が播かれている。 空に浮かぶコツ? それは最後の最後に書かれている。お見事。 そうそう、「師匠」がスピノザの本を熟読してるのがミソ。神は細部に宿る。それってオースターが実行してることじゃないの。微積分を神の領域で感じたスピノザ。ほんとうに、お見事。
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香港往復中に読了。宣伝文句にあるような「おとぎ話」と言われるとちょっと違和感があるけれども、ロマンといんちきくささと現実の厳しさと人の優しさと。絶妙なブレンド具合いが、不思議な浮遊感を生み出している。あの結末は、ある意味大きなハッピーエンド。幸せは案外身近にあるんだけど、それは大...
香港往復中に読了。宣伝文句にあるような「おとぎ話」と言われるとちょっと違和感があるけれども、ロマンといんちきくささと現実の厳しさと人の優しさと。絶妙なブレンド具合いが、不思議な浮遊感を生み出している。あの結末は、ある意味大きなハッピーエンド。幸せは案外身近にあるんだけど、それは大いなる旅を経ないと見えてこない。青い鳥みたいね。 (2002 Feb)
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十二の時、俺ははじめて空を飛んだ。師匠とともに各地を巡業し、二十年代の全米を魅了した「空飛ぶ少年」の飛翔と落下の半生を描く傑作ファンタジー。
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