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帯津良一が語るガンと気功と代替療法 の商品レビュー

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2009/10/04

ガンの治療に気功その他の代替療法を取り入れ、この分野の第一線で活躍する人の講演だけに、この世界での最先端での動向が生き生きと伝わり、すこぶる興味深い。講演集ということでそれほど期待せずに読み始めたのだが、予想を裏切る内容だった。 文字面を追うだけでも話術のうまさ、講演の雰囲気、...

ガンの治療に気功その他の代替療法を取り入れ、この分野の第一線で活躍する人の講演だけに、この世界での最先端での動向が生き生きと伝わり、すこぶる興味深い。講演集ということでそれほど期待せずに読み始めたのだが、予想を裏切る内容だった。 文字面を追うだけでも話術のうまさ、講演の雰囲気、帯津氏の人柄が伝わる。さらに霊性に根ざしたホリスティック医学の方向が、氏独特の語り口によって示唆され、気功や代替療法への氏の姿勢、哲学、志の高さに学ぶところが多かった。 「日本の代替療法の関係者は、まだコマーシャリズムっていうか『売らんかな』主義が強くて、自分が世界の代替療法の大きな流れの一翼を担っている、そして、将来の統合医学へ向かっていくという気概ですね、こういうのが全くないところが多いような気がするんです」と手厳しいが、逆に帯津氏の言葉には、「人間まるごとの医療」(ホリスティックな医療)を取り戻そうとする気概が溢れる。 代替療法は、結局は治療法であって、視点は病に限定されがちだ。しかし、ホリスティック医学は、病だけの問題ではなく、生老病死を貫くものであり、スピリチュアルな視点や死後の世界のことも含めた医学でなければならない。これからの医療者は特に死と死後の世界のことをしっかりと見据えていく必要がある。代替医療も、人間まるごとのホリスティックな医療へという大きな流れのなかで、スピリチ ャリティや死後の問題を包み込んだ医療となっていかなければならない。そんな主張が、本の底流に脈打っている。 帯津氏のがん治療の現場での活躍や、日本の医療の中心にいる様々な人物との交流などを通して見えてくるのは、日本にもそういう時代のうねりが確実に広がりつつあるということだ。10年前には気功そのものがいかがわしい目で見られていたが、今は大きく変化している。そして気功は、まさに病の治療にかかわるだけでは なく、人間のスピリチュアルな気づきや生き方に深くかかわっている。 医療の現場で「人間まるごと」が回復されていくこと、医療や病気への各人の意識や姿勢が変ることが、社会全体にとって持つ意味は大きい。 私自身、ホームペー ジ『日本の気功家たち』などを通して、気功の世界に多少ともかかわっている。代替療法が、スピリチャリティや死後の世界を包み込んだ人間の生老病死の全体にかかわるホリスティック医学へと統合されていくというこの本のヴィジョン、帯津氏の思い描くホリスティック医学のあり方に強い共感を覚えた。

Posted byブクログ