明治人のお葬式 の商品レビュー
著者の此経 啓助(これつね・けいすけ)さん、という人が面白いらしい。現代書館の編集担当者の紹介によると、インドで6年間も暮らし、マガダ大学講師を勤められた後、日本で宗教考現学研究所を設立し、活躍。沢木耕太郎の『深夜特急』の文庫版三巻のブダガヤの記述の箇所の登場人物、なのだそうだ。...
著者の此経 啓助(これつね・けいすけ)さん、という人が面白いらしい。現代書館の編集担当者の紹介によると、インドで6年間も暮らし、マガダ大学講師を勤められた後、日本で宗教考現学研究所を設立し、活躍。沢木耕太郎の『深夜特急』の文庫版三巻のブダガヤの記述の箇所の登場人物、なのだそうだ。『深夜特急』を読んでいないのでわからないが、登場人物になりそうな風情を感じるモノの書き方を感じる。 本書で取り上げているのは、明治に亡くなった山内容堂、木戸孝允、大久保利通、岩崎弥太郎、尾崎紅葉、二葉亭四迷ら25名の葬式の風景。「東京日日新聞」「国民新聞」などの記事をもとに、当時の世相や風習を含めた解説を加えている。「近代国家日本の出発にあたっての死者の送り方にも様々な色合いがあり、明治の混乱模様が面白い」と宣伝文句にあるが、明治時代の新聞記事を読んでみると、確かに面白い。 明治初年の政府の宗教政策では、廃仏毀釈の流れがあり、神道を中心にしていく方向であり、葬儀も偉い人は神葬式が主流であった時代があり、それでも時代が移るとともに、平然と仏式でする人もあった。 日本最初の国葬が岩倉具視で、明治16年7月20日だった。筆者があとがきで述べるように「明治のお葬式の特徴は、自宅から葬儀場へ遺体を運ぶ葬送の長い行列。とくに有名人のお葬式では、大名行列さながらの華美・盛大な葬列が人気だった板垣退助や後藤象二郎を生んだ土佐の殿様の山内容堂の葬列(明治5年6月28日執行)には、彼が愛した芸者・役者がまじって葬儀を華やかにした」といった具合だ。 一昨年の大河ドラマの主人公だった篤姫の葬儀(明治16年12月5日)について、朝日新聞の記事の一部を私が書き抜いたものも、ご参考に。 http://www.kanshin.com/diary/1629991
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