河合雅雄の動物記(3) の商品レビュー
淡々と進む話、に見え後半ドッとくる。ゾワッとくる。んで、私的な偏愛により、猫とキツネの親子の姿に落涙。コロール〜ッ
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(2005.08.10読了)(2002.07.12購入) チンパンジーやゲラダヒヒばかり研究していたと思ったのに、うさぎや猫の話とは驚いた。そういえば、昔、「日本動物記1 都井岬のウマ・飼いウサギ」(思索社、1971.10.01)で飼いウサギについて書いていた。この本を書く前にも...
(2005.08.10読了)(2002.07.12購入) チンパンジーやゲラダヒヒばかり研究していたと思ったのに、うさぎや猫の話とは驚いた。そういえば、昔、「日本動物記1 都井岬のウマ・飼いウサギ」(思索社、1971.10.01)で飼いウサギについて書いていた。この本を書く前にも、野良猫研究家の伊沢雅子さんの調査隊と一緒にオーストラリアの野生化した猫の調査に参加したということです。この本は、オーストラリアで見たウサギと猫についての観察を元に書かれたということです。 「私はサル学者といわれますが、実はサル類を研究する前は、ラビットの行動や社会を研究していたのです。広い囲いの中にウサギを放しての研究だったので、どうしても野生のウサギを研究したいとずっと思っていました。」(あとがき) 主人公は、アビシニアン種の猫のアビです。アビのお母さんは、キリーと呼ばれ、平凡なサラリーマンのトムソンさん一家に飼われていた。キリーは6匹の子供を産んだ。アビが乳離れしてしばらくした頃、トムソンさんが転勤になり子猫は6匹とも捨てられ、キリーは、トムソン一家と一緒に遠くの地へ行ってしまった。捨てられた6匹のうち4匹は、飢えと病気のために死んでいき、アビとハンクロだけが生き残った。 アビは、妊娠し4匹の子供を生んだ。本当の主人公は、4匹の子供のうちの末っ子、雄猫のタックでした。アビは、産後の経過がよくなく、元気がないときは、小母さんのハンクロが助けてくれた。 生まれて一ヶ月もたつと、固形物が食べられるようになった。アビは、ネズミを捕まえてきて子供たちの前で食べて見せた。子猫たちは、なんどか見ているうちに自分でも試みて食べられるようになった。 「ネズミ捕りが上手になるには、生まれてから5週目から12週目の間に練習する必要がある。それは母ネコから教えてもらうのだが、その機会をのがすと、たいていの場合、ネズミ捕りに興味を持たなくなってしまうのだ。」 生まれて3ヶ月もたった頃、アビは、乳を飲むことを拒んだ。子猫たちのひとり立ちを促した。タックは、自分で餌を捕らないといけないことを悟った。見つけて捕った動物は子ウサギだった。4ヶ月を過ぎた頃、アビが車に轢かれて死んだ。 タックも生まれて1年たった。青年期の始まりである。 「ネコはどこでも好きなところを、自由にうろついているのではない。行動する範囲がおのおの決まっている。ここは自分の領分だぞ、ということを示すために、おしっこをかけて匂い付けをする。匂い付けは、よく、縄張りを守るためだといわれるが、そうとはいえない。ネコは自分の行動域によそ者が入ってきても、顔見知りのものに対しては、攻撃して追い払うという事はない。」 「ネコ族は争いが嫌いである。無駄な争いを避けるために、悔しくても相手の優先権を認めること、それがネコ社会のマナーなのだ。」 「ネコは耳、目、鼻の感覚が鋭い動物だが、ひげがまた特異な働きを持っている。口の周りに片方に3本ずつ4列になっている12本、両側と合わせて24本のひげがぴんと横に張っている。ひげが皮膚に食い込んでいる毛根の周りには、無数の末端神経が配置されていて、空気のわずかな動きも感知することができる。」 タックは、街から野に出た。ウサギがいっぱい住んでいる草原に。そこには狐もすんでいる。猫もウサギも狐もみんなオーストラリアに連れてこられた動物たちだ。 著者 草山 万兎(本名:河合 雅雄) 1924年 兵庫県生まれ 京都大学理学部動物学科卒業 専門 生態学、人類学 (「MARC」データベースより)amazon 動物学者河合雅雄がおくる、児童向け本格動物記の第3弾。大自然オーストラリアを舞台に、けんめいに生きる動物たちの姿を骨太に描きます。
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