1,800円以上の注文で送料無料

金正日の秘密兵器工場 の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/08/29

2001年出版。 著者は北朝鮮で最も軍需工場が多く、外国人は足を踏み入れることすらできない慈江道で様々なツテをもとに商売を行っていた人物で、そのため慈江道の軍需工場について詳述している。 現在でも良く耳にする工場、民需工場だと思っていた工場までがガチガチの軍需工場であることを知り...

2001年出版。 著者は北朝鮮で最も軍需工場が多く、外国人は足を踏み入れることすらできない慈江道で様々なツテをもとに商売を行っていた人物で、そのため慈江道の軍需工場について詳述している。 現在でも良く耳にする工場、民需工場だと思っていた工場までがガチガチの軍需工場であることを知り、北朝鮮という国がどういう国であるかを再確認した。 著者は「苦難の行軍」が始まる前の1993年に脱北をしているのだが、すでに人々が配給に頼ることができず、犯罪や資本主義的な商売に手を染めつつ生きていたということが生々しく描かれている。 著者は商売の才能があったようで、力ある単位に所属をし、その単位に必要な金銭や物品を稼ぐために自由に商売を行っている。著者は、その際に手に入れた「仲介料」でかなり大金を稼いだようなのだが、北朝鮮式の商売の過程で必要となる莫大な額の賄賂の話を見ると気が滅入りそうになるほどである。 著者は大掛かりに商売をしたことで安全部に目をつけられ、中国に脱出する。当時はまだ脱北者が多くは無かった時期で、脱北ルートも開拓されていなかった。そのため、中国から韓国に直接渡ろうと試みるが、失敗をし続けて非常に苦労に苦労を重ねて韓国入国に成功している。   しかし問題はここからだ。 著者は韓国で同書を記し、日本でも出版するために日本にわたったあと、中国を経由して北朝鮮に帰ったというのである。 私はこの本を読みながら、このように苦労して韓国に来た初期の脱北者が現在どのように暮らしているのだろう、と思い、何気なくネットで著者の名前を検索したのだが、彼は韓国入国後に国境地域を渡り歩きながら食堂を構えており、そこで北朝鮮の要員と接触をしていたという疑惑もあるらしい。   彼は最初から工作員だったのだろうか。 それとも、自由と民主主義に憧れて韓国にやってきたものの、北朝鮮に帰らざるを得なかったのだろうか。そして私が読んだ、彼の脱北記の部分はどれだけ正確なのだろうか(前半の軍需工場についてはある程度確認が取れている内容ではあるようだ)。内容とは違うところでも大きな衝撃を受ける本である。

Posted byブクログ