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ホメロス の商品レビュー

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2024/01/12

文学や史学の方には特に顕著に思われるのが、自著を介しての論敵とのバトルである。ファンでもフォロワーでもない通りすがりの者にはなにがなにやらわからない。本書も「日本語版への序」に「多数の歴史的・地理的な論議、二大叙事詩の成立にかかわる諸問題についての論争に立ちいることはしません」と...

文学や史学の方には特に顕著に思われるのが、自著を介しての論敵とのバトルである。ファンでもフォロワーでもない通りすがりの者にはなにがなにやらわからない。本書も「日本語版への序」に「多数の歴史的・地理的な論議、二大叙事詩の成立にかかわる諸問題についての論争に立ちいることはしません」とあるが、少なくとも成立に関わるあたりにはふれており、自身で設定した禁則事項に抵触しているのかいないのか気になった。 さておき、本書を読む動機となったのは、『イリアス』『オデュッセイア』をいちおうは読んで、ホメロスに関する評を定めたくなったというものである。詩心は解せぬとしても『イリアス』の写実的ともいえる描写の冴えには唸らされたし、苦笑いとともにであったとしても冒険物語としての『オデュッセイア』を楽しんだ。ただそれだけでなんにも手がかりがないので、とりあえず目についたものを読んでみることにした。 一介の読み手は楽しむだけで問題ないが、アレクサンドロス大王がホメロスを好んだとなれば、その理由を知りたくもなる。いずれ理由も知れようかと気長に待っていたが『ヒストリエ』の完結を待たずに世を去ることになりそうだ。 アレクサンドロス大王はどのような思いを抱いたのか。単に物語として好んだのか、詩の美しさに打たれたのか。インドまで駆けた王の学識の寄る辺となり得るものであったのか。 本書においては、ホメロスが万事において教養の祖とされたこと、"アレクサンドロス大王は『イリアス』を「戦意の支えとして」枕頭に置いていたとプルタルコスは言"ったことが紹介されていた。読み手の素養不足が辛い。

Posted byブクログ