正義の見方 の商品レビュー

宮崎哲弥(著者)

この人が颯爽と登場し…

[文庫ＯＦＦ]

この人が颯爽と登場してきてから、もう何年も立つ。若手評論家の星も、いまや論壇の中堅の地位に近付きつつある。本書はいくぶん冗長な調子も交えつつ、幅広い論点を扱った本だと言えるだろう。ことさら強烈な主張はなく、また突っ込んだ議論もしていないので、比較的読みやすい評論集なのかもしれない。10年近くも前の本なので内容の古さは否めないところだが、夫婦別姓論やｵｳﾑ真理教の考察には今なお見るべき点があると思われる。

2012/09/19

「近代主義」は勿論、「ポストモダン派」も嫌悪する所謂「アクチャル世代」の旗手？　ハイカルチャーで浅田彰が高踏的な整理作業をやったのに対し、あくまで「アクチャル」な議論の交通整理を見事にさばいて見せる手腕が時代に買われている所以なのだろう。コミュニタリアンの観念には辟易するが、中途半端な都市に中途半端に育った者がそれをしっかり認めた上での真摯な思想的立場なのは伝わる。