新制度派経済学入門 の商品レビュー
開発経済学の中で、新古典派経済学の後継者として有望視されるということで読んでみた。不完全市場を前提とし、取引費用の低減と技術革新をおこせる制度かどうかが、一国の経済パフォーマンスを決めるというのは納得できる部分もある。 ただ、民主主義や資本主義に対する無邪気な信頼が見て取れたこと...
開発経済学の中で、新古典派経済学の後継者として有望視されるということで読んでみた。不完全市場を前提とし、取引費用の低減と技術革新をおこせる制度かどうかが、一国の経済パフォーマンスを決めるというのは納得できる部分もある。 ただ、民主主義や資本主義に対する無邪気な信頼が見て取れたことが残念。
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新制度派経済学について学べるもの。 制度=institutionという意味であるが、この学問が面白い点は、制度をフォーマル(=正式)なものと、インフォーマル(=非正式)なものに分けたことである。前者は、法律とか規律、警察などの国家が保証するような制度である。後者は社会的な制度、慣...
新制度派経済学について学べるもの。 制度=institutionという意味であるが、この学問が面白い点は、制度をフォーマル(=正式)なものと、インフォーマル(=非正式)なものに分けたことである。前者は、法律とか規律、警察などの国家が保証するような制度である。後者は社会的な制度、慣習、文化などのその社会特有の、外からはなかなか見えにくいものである。これらの制度が利用しやすく、信頼が高いものであれば、市場における取引費用が下がる、という理論である。 もし賄賂や独占があれば取引費用は高くなり、誰もビジネスをしようとしない。 これは現代ロシア論の教科書で使ったのだが、本書は中国や南米の開発独裁の国などを例に取り、どのようにしてフォーマル/インフォーマルな制度が大事かを訴えている。簡単に言うと、権威主義体制の国では(もちろん共産主義においても)、取引費用が異常に高い。 そのあと、移行体制論の議論に入る。最も大事なのは、前述の取引費用を下げることである。それが欠けた経済政策は、結局のところ無駄になってしまう。そのためには、フォーマル/インフォーマルな制度を作っていくことが大事である、というのが本書の一番重要とされるところである。
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