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うるしの話 の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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2024/06/03

漆器にも興味が無かった訳ではないが、江戸和竿の漆塗り技法に興味を持ってから読んだ本。 伝統技術の伝承は勿論、天然素材である漆や竹の品質維持も年々難しくなっている。

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2024/02/18

うるしに関する展覧会に行ったことがきっかけ。 本だけでは分かりにくいところはあるものの、それでもうるしの特殊性は伝わってくる。 人間国宝の言葉は重みがあり、ところどころ辛辣な意見が観られるところも面白い。

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2021/06/03

 石川県金沢出身の人間国宝、漆芸家松田権六の取材記録。  漆のこと、種類、塗り方、装飾法、器胎、地方漆器の特色等々、惜しみなく細かく説明してくれて有難い本だ。  上野の美術学校(現東京芸術大学)を卒業しても就職口がなく、仕方なくペンキ屋で働いていた。仕事の合間に作った未完成の作品...

 石川県金沢出身の人間国宝、漆芸家松田権六の取材記録。  漆のこと、種類、塗り方、装飾法、器胎、地方漆器の特色等々、惜しみなく細かく説明してくれて有難い本だ。  上野の美術学校(現東京芸術大学)を卒業しても就職口がなく、仕方なくペンキ屋で働いていた。仕事の合間に作った未完成の作品(手箱)を友達が勝手に農商務省の展覧会に応募し、それが最優秀賞二等賞に入選。多額の賞金が入った上に、政府はそれをドイツに出展し、名誉大賞をとったという。さすが!   その後は、パイロットで蒔絵万年筆を創始、ダンヒルパイプの漆塗り、岩崎邸、国会議事堂、フランスコティの宮殿、そして大型汽船の内装を手掛け、晩年は日本の伝統工芸、時代椀の普及に取り組んだ。残念なことに時代は戦時下。美しく塗られた大型汽船は戦争に駆り出され、時代碗図録刊行のために集めた資料は戦災で燃えてしまった。  仕事はほぼ依頼されて行っていたようだが、大型汽船に関しては別。熱心に郵船会社へかけあってプロモートするが、ことごとく断られる。やっとのことで許可が下り、人間国宝松田が塗った扉を付けた照国丸と靖国丸はイギリスに渡り、インド洋を経て帰ってきた。ヨーロッパの人々の称賛を受け、漆がいかに強くて美しいかを証明したのだ。松田氏は言う。「私はこの扉を引き受けた時から会社を相手にするつもりはなかった。日本人相手にすべからずという印象を受けたからである。むしろ欧州航路の船を利用して、外人に漆芸の美を喚起させようと思って、ご奉公のつもりでしたのである。私の相手はたった一人でいいから具眼の外国人であった。西洋人に認識させるとともに、近代生活に漆芸の分野を新しく開拓しようと努力したのだ。」 それにしてもたった2週間で漆の扉を、しかも蛇籠と藤の花の豪華な蒔絵まで施して仕上げるとは……そんなこと可能なのか?さすがとしか言いようがない。  文庫本の解説は生徒のおひとり大場松魚さん。先生からは、「蒔絵を勉強するなら、毎日一案は図案を画きとめること」「大和絵を勉強すること」そして「古いものを大切にする。そして伝統を支える技術や精神を大切に伝えていく。それとともに、古いものを勉強してさらに進ませなくてはいけない。変化させるのではなく、進化させることが時代を新しくしていくのだ。」と教えられたという。

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2016/05/31

何とも美しいうるしの話。素人でも興味さえあればぐんぐん引き込まれて一気に読めます。その理由は、歯切れ良く流れるような文章にあり、著者の美意識の高さが隅々にまで行き渡っているように感じられます。漆工芸品の鑑賞がますます楽しくなる一冊です。

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2012/12/27

「漆聖」と言われた方。作品を何度も観た。もう言葉もないほどに素晴らしい。人間が創る宝石が漆器だと思っているが、その表面の漆黒の深みにハマる。 漆についての温かみと熱情こもる解説。そして自身の修業と活動の軌跡。こういう方こそ「国宝」という名にふさわしい。

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2011/04/17

漆芸の深い森の入り口をほんの少し紹介する程度に留めていますが、実践する人だけが語ることのできる内容はものすごく説得力があります。 第二部の「漆とともに六十年」に書いてある自身の決して平坦ではない道のりをハングリーな姿勢で駆けぬけてきたことに感動。

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2010/03/01

 タイトルのとおりです! 『うるしの話』、漆について語られています。  英語で“japan”と言えば「漆」を指すほど、漆と日本とは関係が深いのです。近年、日本人より『源氏物語』や「歌舞伎」に詳しい欧米人なんかが取り上げられていますが「漆」を知らない日本人っていうのもどうなんですか...

 タイトルのとおりです! 『うるしの話』、漆について語られています。  英語で“japan”と言えば「漆」を指すほど、漆と日本とは関係が深いのです。近年、日本人より『源氏物語』や「歌舞伎」に詳しい欧米人なんかが取り上げられていますが「漆」を知らない日本人っていうのもどうなんですかねー? ゲヘヘ。  本書は二部構成になっており「第一部」では「漆芸」全般の知識が体系立てられています。「第二部」は松田さんの漆半生が語られている的な。  「新書版あとがき」にて北川さんも語っているのですが「漆」に関する書籍というと「名品図録」や専門的なものばかりで、素人が気軽に手を出すようなものは出ていません。実はひょんなことから「漆」について調べなきゃならなかったのですが、本書に行き着くまで僕も苦労しました。本書は「漆」の基礎から詳しいことまで書いてあり、読後は困らない程度には漆話ができるようになるでしょう。  ちなみに、著者の松田さんは「漆聖」とも呼ばれ、人間国宝に指定された方。ことばの端々に威厳は感じられるし、いわゆる「職人気質」な雰囲気を漂わせています。当然、漆に対する情熱も強く、そういったこだわりの持ち方に感化されちゃうね。「『密陀絵』なんて呼び方はおかしい!」とか、定説に一石投じちゃったりしています。おそらく、誰にでもこだわりを持つ何かはあると思いますが、松田さんのこだわりの持ち方なんかも参考にしてみてください! 【目次】 第一部 漆と漆芸     一 日本の漆芸の伝統     二 漆-そのふしぎな樹液     三 漆器の材料と塗り方     四 蒔絵を語る-漆器の装飾(一)     五 螺鈿・平文・彫漆-漆器の装飾(ニ)     六 日本各地の漆芸 第二部 漆とともに六十年     一 私の修行時代     ニ 楽浪漆器修理の経緯     三 蒔絵万年筆の創始とその影響     四 現代建築の漆芸装飾     五 船内塗装の経験     六 今日の漆芸 新書版あとがき 北川桃雄 解説 大場松魚

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2009/10/04

漆と漆芸について、人間国宝である著者の六十余年の経験を惜しみなく語った貴重な記録であり、「うるし」への格好の入門書となっている。ときにかなり専門的な話にも踏み込んでいるのだが、すべてが著者の体験をふまえた記述となっているので、わかりやすく説得力がある。漆芸の長い歴史と多様な発展の...

漆と漆芸について、人間国宝である著者の六十余年の経験を惜しみなく語った貴重な記録であり、「うるし」への格好の入門書となっている。ときにかなり専門的な話にも踏み込んでいるのだが、すべてが著者の体験をふまえた記述となっているので、わかりやすく説得力がある。漆芸の長い歴史と多様な発展の姿を知るとともに、それを支えてきた職人たちの仕事ぶりが彷彿と蘇ってくるようだ。また、技論、修業論としても聞くべき話が多い。 とにかく、この本は坂口謹一郎の『日本の酒』などとともに、日本人の教養の基本書だと思う。なればこそ、文庫本とはいえ、索引がないのはいかにも残念である。

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2009/10/04

『漆コーヒー』 漆の実はコーヒーのように煎って飲めるそうです。 食べる事もでき茶人の珍味とあれば、心惹かれる。

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2009/10/04

漆聖とよばれた著者松田権六氏(1896−1986)がその体験を織り交ぜながら,漆塗りの制作工程や伝統的技法について語った本。

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