ユダヤ人を救った外交官 の商品レビュー

ベルントシラー(著者),田村光彰(訳者),中村哲夫(訳者)

2016/02/06

ハンガリーの対ユダヤ人特殊部隊帳アイヒマンは、ワレンバーグにとって最悪の敵だった。にもかかわらずワレンバーグは彼と彼の極めて親しい同僚を食事会に招いた。アイヒマンは交渉にも自分の身を救うことにも全く関心を示さなかった。ワレンバーグの救出活動はアイヒマンを怒らせた。その理由はおそらくは次のようなことが浮かび上がってきたからではないかと思われる。すなわちワレンバーグの活動が他の親衛隊員、例えばベッヒャーやなんといってもヒムラーたちからも支持されていることが見えてきたからだろう。アイヒマンは自分ひとりで支配していたわけではなかった。だからワレンバーグの身の上に自分以外の誰かが事故を起こすことを予言し、威嚇した。実際、事故は起こった。ドイツのトラックがワレンバーグの車に猛スピードで激突してきた。彼は仕事の都合で自分は乗らず、代わりの人間が乗っていた車であった。ワレンバーグはアイヒマンのところへ生き、自分の命を狙うこうしたテロ行為に抗議した。アイヒマンは不幸な出来事に同様はしたが、こう付け加えた。「またやりますぞ」アイヒマンは周囲の人に聞えよがしに「ユダヤ人の犬ワレンバーグ」を射殺するぞと威嚇したが、こうした彼の脅迫行為はダニエル孫大使によってスウェーデンに伝えられた 。

2012/10/02

ホロコーストの末期、ハンガリーのブダペストで10万人ものユダヤ人を救ったスウェーデン人外交官、ラウル･ワレンバーグ。しかし、戦後その消息は不明のまま。本書は、ソ連に拘束されたまま亡くなったというワレンバーグのその後を解説する。原書は、『Varför ryssarna tog Raoul Wallenberg』(スウェーデン語)(なぜロシア人はラウル･ワレンバーグを捕らえたのか)。